四谷区

四谷区：東京の歴史を刻んだ区

四谷区は、東京府東京市（後の東京都）に存在した区で、1878年（明治11年）から1947年（昭和22年）までの約70年間、東京の街並みを形成する上で重要な役割を果たしました。現在の新宿区の一部にあたり、その歴史は、明治時代の東京都市開発と深く関わっています。

明治時代の区制と四谷区の成立

1878年11月2日、郡区町村編制法に基づき、四谷区は発足しました。当初の区域は、現在の新宿区四谷地域の大部分と、隣接する地域の一部を含んでいました。四谷愛住町、四谷荒木町など、現在も地名として残る地域に加え、その後編入合併によって、多くの地域が四谷区に含まれることになります。


特に、明治12年（1879年）には牛込区の一部を編入し、また明治13年（1880年）には麹町区の一部や市ヶ谷地域の一部を編入するなど、その区域は幾度となく変更されました。さらに、明治22年（1889年）の東京市制施行に伴い、周辺の町村の一部も四谷区に編入され、現在の区の原型が形成されていきます。


明治24年（1891年）には、編入された千駄ヶ谷村域に、四谷西信濃町、四谷霞ヶ岳町などの町名が新たに設置されました。また、同年には内藤新宿町の一部を編入し、四谷内藤町が設置されるなど、区の境界は幾度となく変更され、その地域的範囲を拡大していきました。

交通網の発達と都市化

明治27年（1894年）には甲武鉄道（現在のJR中央線）の四ツ谷駅と信濃町駅が開業し、交通の便が向上しました。その後、明治36年（1903年）には東京市街鉄道（後の東京都電車）が開通。さらに、大正4年（1915年）には京王電気軌道（現在の京王線）新宿追分駅が開業するなど、交通網の発展は、四谷地域の都市化を加速させました。


大正9年（1920年）には、豊多摩郡内藤新宿町が編入され、新宿一丁目から三丁目といった町名が新たに誕生します。そして、昭和2年（1927年）、昭和5年（1930年）、昭和12年（1937年）と、京王線の駅名も幾度と変更され、今日の京王線新宿駅へと繋がっていきます。


昭和18年（1943年）には東京都制施行により、東京都四谷区となりました。その後、昭和20年（1945年）には空襲被害を受けますが、戦後も着実に復興を遂げていきます。

四谷区の消滅と新宿区への統合

昭和22年（1947年）3月15日、四谷区は淀橋区、牛込区と合併し、新宿区となりました。長きに渡り、東京の歴史を刻み、発展に貢献した四谷区は、その歴史に幕を閉じました。


しかし、四谷区役所庁舎は新宿区役所四谷支所、その後四谷特別出張所として機能を続け、現在は新宿区四谷区民センターとして、地域の拠点としてその存在感を保ち続けています。

四谷区ゆかりの人物たち

四谷区、そして現在の新宿区には、数多くの著名人が居住・活動していました。 政治家、学者、芸術家など、様々な分野で活躍した人々が、四谷区の歴史と文化を彩りました。 政治学者である神島二郎氏、歴史学者桃裕行氏、そして世界的にも有名な小説家である三島由紀夫氏なども、四谷区と深い関わりを持っていました。


その他にも、画家、音楽家、俳優、作家など、多方面で活躍した多くの人々が、四谷区の歴史に名を刻んでいます。これらの著名人たちの存在は、四谷区が文化的な拠点として繁栄していたことを示すものであり、歴史的な意義をより一層深くしています。

結論

四谷区は、明治維新後の東京の都市発展を象徴する区の一つでした。その歴史は、幾度となく繰り返された区割りの変更や、交通網の発展、そして数多くの著名人との関わりを通じて、複雑かつ興味深いものです。 現在の新宿区の一部として、その歴史は今も街の記憶として受け継がれています。

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