団原古墳

団原古墳について

団原古墳（だんばらこふん）は、島根県松江市山代町にあった古墳であり、有・大草古墳群の一部を成しています。現存する墳丘の大部分は失われていますが、その特徴的な石室は名古屋城に移築されています。この古墳は、古代の埋葬習慣や文化を理解する上で、貴重な情報源となっています。

概要

団原古墳は、島根県東部に位置する低丘陵の一角に築かれており、その標高は約23メートルです。かつては、墳丘が流失し、石室がほぼ露出した状態で存在していましたが、昭和時代に石室は解体され、名古屋城の御深井丸へと移されました。1988年には現地で発掘調査が行われ、古墳のさらなる情報が得られました。

古墳の形状は現在明らかではありませんが、長径約40メートル、短径約25メートルの楕円形の高まりが残っています。この調査により西側の墳裾が確認され、外表からは様々な須恵器が出土しました。埋葬施設は石棺式石室で、南西方向に開口していることが確認されており、玄室と羨道から成り立っています。玄室は一枚石の組み合わせで構築され、出雲地域に見られる石棺式石室の代表例の一つとされています。

出土品としては、羨道部付近から多くの須恵器が発見されました。しかし、石室内は盗掘に遭っていたため、詳細な副葬品の情報は伝わっていません。推定される築造時期は、古墳時代の後期から終末期にあたる6世紀末から7世紀初頭頃で、地域的には岡田山1号墳や御崎山古墳、岩屋後古墳に後続する位置付けです。周辺地域では、山代・大庭古墳群が特に規模が大きく、古墳群の被葬者は大首長を補佐する役割を果たしていたと考えられています。

遺跡の歴史

団原古墳に関する研究は1918年に始まり、梅原末治により最初に学会に紹介されました。その後、1936年に名古屋の古美術商が石室を購入し、解体して野積みしていました。その後、この石室は名古屋城内に移され、1959年には再建作業の際に御深井丸の一角に設置されました。石室の運搬は、当時の技術を駆使して行われ、大きな歴史的な意義があります。

戦後も、名古屋城の再建が進む中、団原古墳の石室の研究が続けられ、その成果は上記の年表に示されています。1988年には現地発掘調査が行われ、さらに詳細な情報が得られました。

埋葬施設

団原古墳の埋葬施設は、南西方向に開口する石棺式石室から成ります。玄室と羨道の構成で、石室の規模は玄室が長さ約1.9メートル、幅約2.6メートル、そして高さ約1.9メートルです。羨道の長さは不明ですが、幅は約0.9メートル、高さは約1.3メートルと推測されています。

石材は大草地域で産出された角礫凝灰岩が使用されており、玄室の平面形状は横広の長方形です。玄室の構造は、板状の一枚石によって造られており、石室内にはすでに発掘における数多くの須恵器が存在します。出土した須恵器の中には出雲型の子持壺が複数見つかっています。

関連施設

団原古墳を知る上で有益な情報を得られる施設として、島根県立八雲立つ風土記の丘展示学習館があります。ここでは、古墳や地域文化についての資料が展示されています。

団原古墳の研究は、古代出雲の文化を学ぶために重要であり、これからもその学びを深めることが期待されています。

もう一度検索