梅原末治

梅原末治（うめはら すえじ）

梅原末治（1893年8月13日 - 1983年2月19日）は、日本の著名な東洋考古学者であり、京都大学の名誉教授でした。彼は東洋考古学の基礎を築いた人物として知られています。

略歴

大阪府南河内郡古市村（現在の羽曳野市）に生まれた梅原は、1913年に同志社普通学校（現：同志社中学校・高等学校）を卒業しました。大学への進学は叶いませんでしたが、1914年に京都帝国大学文科大学陳列館助手となり、研究者の道を歩み始めます。1921年には朝鮮総督府古跡調査委員に任命され、朝鮮半島の考古学調査に従事しました。

1929年、東方文化学院京都研究所（現在の京都大学人文科学研究所）所員となり、京都帝国大学文学部の講師も兼任しました。1933年6月には同助教授（考古学講座）に昇進。1939年には「支那青銅器時代の研究」により京都大学から文学博士の学位を授与され、同教授（考古学講座）に就任しました。

1948年7月から同年11月まで京都大学評議員を務め、1956年8月に京都大学名誉教授となりました。

人物

梅原は、病弱のため大学に進学できませんでしたが、濱田耕作に師事し、日本で初めて京大に考古学教室を開いた人物として知られています。長年にわたり、日本、朝鮮、中国で考古学の研究に従事し、多大な功績を残しました。特に、型式学的研究法を確立し、日本考古学の発展に大きく貢献しました。

しかし、個性的な性格のため、末永雅雄や小林行雄など、多くの同年代の考古学者との間に確執を生んだことでも知られています。

息子の梅原郁も考古学者であり、京都大学名誉教授（人文科学研究所、東洋史、宋代官僚制・司法制度研究）として活躍し、2010年には日本学士院賞を受賞しています。

受賞歴

1963年 - 1962年度朝日賞
1963年 - 文化功労者
従三位勲二等旭日重光章

著書

梅原は多数の著作を発表しており、その研究成果は東洋考古学の発展に大きく貢献しました。以下に主な著書を挙げます。

「弥生土器形式分類聚成図録」（『京都帝国大学文学部考古学研究報告3』、1919年度）
『鑑鏡の研究』大岡山書店 1925
『銅鐸の研究』大岡山書店 1927
『欧米に於ける支那古鏡』刀江書院 1931
『漢三国六朝紀年鏡集録』岡書院 1931
『古代北方系文物の研究 明斯教授頌寿記念』星野書店 1938
『支那考古学論攷』弘文堂 1938
『紹興古鏡聚英』桑名文星堂 1939
『日本考古学論攷』弘文堂書房、1940
『河南安陽遺物の研究』桑名文星堂 1941
『漢三国六朝紀年鏡図説』桑名文星堂 1943
『支那漢代紀年銘漆器図説』桑名文星堂 1943
『東亜考古学論攷』第1 星野書店 1944
『唐鏡大観』美術書院 1945
『朝鮮古代の文化』高桐書院 1946
『東亜の古代文化』養徳社 1946
『朝鮮古代の墓制』座右宝刊行会 1947
『東亜考古学概観』星野書店 1947
『日本の古墳墓』養徳社 1947
『支那古玉図録』桑名文星堂 1955
『殷墓発見木器印影図録』便利堂 1959
『日本蒐儲支那古銅精華』第1-6編 山中商会 1959-1964
『殷墟』朝日新聞社 1965
『日本古玉器雑攷』吉川弘文館、1971
『考古学六十年』平凡社 1973
『殷墟出土白色土器の研究』同朋舎出版 1984
『河南安陽遺宝』同朋舎出版 1984
『漢以前の古鏡の研究』同朋舎出版 1984
『古銅器形態の考古学的研究』同朋舎出版 1984
『戦国式銅器の研究』同朋舎出版 1984
『柉禁の考古学的考察』同朋舎出版 1984
『洛陽金村古墓聚英』同朋舎出版 1984

共編著

『朝鮮古文化綜鑑』第1-4巻 藤田亮策共編著 養徳社 1947-1966
『通溝 満州国通化省輯安県高句麗遺蹟』池内宏共著 国書刊行会 1973
編『慶州金鈴塚飾履塚 大正13年度古蹟調査報告』図書刊行会 1973

外部リンク

公益財団法人東洋文庫 画像データベース 梅原考古資料
公益財団法人東洋文庫 画像データベース 梅原考古資料日本縄文時代之部

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