団塊ヒーロー!香リン4

団塊ヒーロー!香リン4：加齢臭と戦うオヤジたちの青春？

フジテレビジョン美術センターが制作し、インターネットで配信されたアニメ『団塊ヒーロー!香リン4』。そのタイトル通り、団塊世代の4人の男性が、加齢臭を武器に変身し、悪臭星人から地球を守るというユニークな物語です。

2006年秋頃、フジテレビジョン美術制作局美術センターの清水淳司氏（当時専任部長）が原案を考案。「デジカニ」（デジタルカーニバル2007）でのプレゼン上映後、社内で高い評価を受け、デジタルコンテンツ局の協力を得て2007年6月18日より、フジテレビZOOでネット配信が開始されました。当初は『団塊戦隊!香リンジャー』というタイトルでしたが、何らかの理由で変更され、一部キャラクターにも修正が加えられています。

この作品最大の特徴は、制作体制にあります。外部委託せず、フジテレビ美術センターが制作、さらに声優は同局のアナウンサーが担当するという、局内完結型の異色の作品なのです。この手法は後年、『信長協奏曲』でも採用されています。

ストーリー：加齢臭から奇跡の変身！

物語は、加齢臭に悩む4人の団塊世代の男性から始まります。彼らはお子さんや奥さん、同僚など周囲から煙たがられ、悩みの日々を送っていました。そんな中、悪臭大王率いる悪臭星人が地球侵略を開始しようとしていたのです。

一方、天才科学者である井伊香織は、地球を守るべくヒーローの創造を目指していました。運命のいたずら？加齢臭に悩む4人は、香織が経営するメンズエステ「E」を訪れます。

そこで香織は、4人にヒーローになることを提案します。最初は戸惑う4人でしたが、井伊家に伝わる秘伝の薬によって、「敵を倒せば3分間は華麗な香り、悪臭大王を倒せば永遠にいい香りが続く」という説得文句で、ついに『香リン4』が誕生したのです！加齢臭が強い耳の裏を擦ることで変身し、怪人を倒すと加齢臭は華麗な香りに変わり、顔までイケメンになるという、なんとも痛快な設定です。

キャラクター：個性豊かなオヤジヒーローたち

香リン4には、それぞれ個性豊かなキャラクターが揃っています。

赤星守（香リンローズ）：かつてのエリートサラリーマンが現在は窓際族。家庭でも冷遇され、加齢臭に悩む58歳。変身後はバラの香り。
青木瑛士（香リンマリンブルー）：かつての人気俳優が、年齢とともに仕事が減り、加齢臭でファンからも逃げられる57歳。変身後はマリンブルーの香り。
緑川伊知郎（香リンハーブ）：バブル崩壊で会社が倒産、タクシー運転手になったが、加齢臭で客に降りられてしまう59歳。変身後はハーブの香り。
桃井勝明（香リンピーチ）：かつてはモテモテだったオカマのスタイリスト。加齢臭で客が離れていく57歳。変身後は桃の香り。

悪の組織である悪臭星人のボスは悪臭大王。そして、様々な悪臭怪人が登場します。第一話に登場する「納豆臭怪人ネバネバーン」は、赤星守の娘をさらってしまいます。

その他にも、香リン4の生みの親である井伊香織や、その家族、そして謎のキャラクター「キャレイシュ・ペポラー」など、個性豊かなキャラクターが物語を彩ります。

配信と突然の休止

『団塊ヒーロー!香リン4』は、2007年6月18日に予告編が公開され、問い合わせ殺到のため、21日からは主題歌「哀愁体臭加齢臭」のプロモーションビデオに差し替えられました。その後、第一話の前後編が配信されましたが、同年8月1日に突如としてサイトが公開休止となりました。

公開休止の理由は「サイト運営に関する諸般の事情」とされていますが、悪臭怪人のアイデア募集や、2話の収録完了、漫画化のオファーがあったことなどから、デジタルコンテンツ局内で何らかの事情があったと推測されます。

スタッフ：局内の才能が結集

この作品には、フジテレビジョン美術センターのスタッフが多数参加しています。原案・脚本・監督は「大分駿」（清水淳司氏のペンネーム）が務め、脚本、構成、音楽、アニメーション制作など、多くのスタッフがそれぞれの才能を発揮しています。

主題歌「哀愁体臭加齢臭」は、米良美一が歌唱し、作品の世界観をさらに盛り上げています。

『団塊ヒーロー!香リン4』は、そのユニークな設定と制作体制、そして突如の休止という謎めいた部分も含め、現在でも多くのファンから語り継がれる、伝説の作品として記憶されています。

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