囲碁九品

囲碁九品（いごくぼん）

囲碁九品とは、囲碁の段位に対応する九つの品格を指す言葉です。単に棋力の強さを示すだけでなく、囲碁に対する姿勢や風格、その人物の人間性までも表すものとして、古くから尊重されてきました。

各段位に対応する品格は以下の通りです。

入神（にゅうしん）

対応段位: 九段、名人
意味: 棋聖の域に達した、神の如き境地にいる者の品格。最高位にふさわしい、卓越した棋力と風格を兼ね備えた人物を指します。

坐照（ざしょう）

対応段位: 八段、準名人
意味: 盤上に坐れば、たちどころに盤面全体を照らし出すかのような、高度な実力を持つ者の品格。盤面全体を把握し、的確な判断を下すことができる実力者を指します。

具体（ぐたい）

対応段位: 七段、上手
意味: 実戦において、攻守ともに優れた能力を発揮する者の品格。完全無欠ではないものの、実戦的な強さを持つ者を指します。

通幽（つうゆう）

対応段位: 六段
意味: 囲碁の奥深い道理に通じ、その妙味を熟知している者の品格。碁の本質を理解し、自在な着想で局面を打開できる者を指します。

用智（ようち）

対応段位: 五段
意味: もっぱら知略を駆使して戦う者の品格。高度な戦略と戦術を駆使して勝利を目指すタイプを指します。

小巧（しょうこう）

対応段位: 四段
意味: 布石、中盤、終盤、あらゆる局面において巧みな打ち回しを見せる者の品格。総合的なバランス感覚に優れ、隙のない碁を打つ者を指します。

闘力（とうりょく）

対応段位: 三段
意味: 力強い碁で相手を圧倒する者の品格。力強い攻めを武器に、力で相手をねじ伏せるタイプを指します。

若愚（じゃくぐ）

対応段位: 二段
意味: 一見すると弱そうに見えるが、実は内に秘めた強さを持つ者の品格。油断ならない碁を打つ者を指します。

守拙（しゅせつ）

対応段位: 初段
意味: 力が及ばないため、定石を遵守し、無理な戦いを避ける者の品格。まずは基本を忠実に守り、着実に実力をつけることを目指す者を指します。


これらの品格は、単なる強さだけでなく、囲碁に対する姿勢や考え方、人間性までも示唆するものとして、古くから尊重されてきました。自身の棋風や目標を定める上で、これらの品格を参考にすることも有益でしょう。


備考
囲碁九品の出典は、中国の古典『玄玄碁経』の「碁経十三篇」の第十二篇です。
初段になることを「入品（にゅうぼん）」と言います。

参考文献
橋本宇太郎『玄玄碁経』山海堂、1976

関連項目
囲碁
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