囲魏救趙

囲魏救趙（いぎきゅうちょう）

兵法三十六計の第二計に数えられる戦術で、敵を直接攻撃するのではなく、敵の弱点を攻撃することで、間接的に目的を達成することを指します。

戦術の核心

この戦術の根本は、敵を一箇所に集中させないように仕向け、敵の注意を分散させることにあります。正面から敵の強大な戦力にぶつかるのではなく、敵が隠している弱点を攻撃することで、戦局を有利に進めることを目指します。

事例：桂陵の戦い

囲魏救趙の代表的な事例として、戦国時代の「桂陵の戦い」が挙げられます。当時、強国であった魏が趙を攻め、首都である邯鄲を包囲しました。趙は同盟国である斉に援軍を要請し、斉は田忌を将軍、孫臏を軍師として派遣しました。

しかし、孫臏は邯鄲へ直接向かうのではなく、魏の首都である大梁を攻撃するという奇策を用いました。魏軍は自国を守るために趙の包囲を解き、大梁へと引き返さざるを得なくなりました。その退却する魏軍を、孫臏は桂陵で待ち伏せし、これを打ち破ることに成功しました。結果として、斉は趙を救い、魏の勢いを削ぐことができたのです。

孫臏の戦略

孫臏は、混乱した糸を解きほぐすように、戦局全体を俯瞰し、無理な正面衝突を避けることの重要性を説きました。敵の弱点を突き、敵の態勢を崩すことで、自ずと問題は解決に向かうと説いたのです。

教訓

囲魏救趙の計は、ビジネスや人間関係など、様々な状況に応用できます。問題解決のためには、常に直接的な解決策が最善とは限りません。時には、間接的なアプローチや、相手の意表を突く戦略が有効な場合があります。固定観念にとらわれず、柔軟な発想で問題に取り組むことの重要性を示唆する戦略と言えるでしょう。

出典

『史記』孫子呉起列伝

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