桂陵の戦い

桂陵の戦い：知略が勝利を導いた戦い

桂陵の戦い（けいりょうのたたかい）は、紀元前354年に斉が趙を救うために魏を攻撃した戦いです。この戦いは、「囲魏救趙」の故事で有名で、戦国時代の勢力図を大きく変える契機となりました。

戦いの背景：対魏同盟の成立と魏の危機

戦国時代初期、魏は文侯の改革によって強大な国力を得ました。しかし、その強大さゆえに他の諸侯国から警戒されるようになります。紀元前356年、趙・斉・宋・燕の諸国は会盟し、魏に対抗する姿勢を示しました。これにより魏は、諸国連合から攻撃される可能性に直面し、この危機を脱するために、周辺国への攻撃を始めます。

魏・趙の交戦：邯鄲攻防戦

紀元前354年、魏は趙の侵攻に対抗するため、衛を支援しました。魏・衛・宋の連合軍は趙の首都である邯鄲を包囲し、趙を滅ぼそうとします。しかし、この侵攻は魏自身の国力の分散を招きました。秦が魏の隙を突き、河西の地を奪取するなど、魏は四面楚歌の状態に陥っていきました。

斉の出兵：孫臏の戦略

趙からの救援要請を受けた斉の威王は、当初、将軍の段干朋の提案を採用し、魏軍が疲弊するのを待つ戦略をとりました。しかし、邯鄲が陥落寸前となった時、威王は田忌を総大将、孫臏を軍師として斉軍を派遣することを決定します。

囲魏救趙の計：孫臏の知略

孫臏は、田忌が提案した邯鄲での決戦を退け、「絡んだ紐を解く時は無闇に引っ張るものではない」と、魏の国都である大梁を急襲する「囲魏救趙」の計を提案しました。

孫臏は、魏軍が邯鄲を包囲している間に、その本拠地である大梁を攻撃することで、魏軍を邯鄲から撤退させようと考えました。この戦略は「批亢搗虚」と呼ばれ、相手の弱点を突くことで、戦局を有利に導くものでした。

桂陵の戦い：魏軍の大敗

孫臏の策を採用した斉軍は、魏の国都大梁へ進軍を開始します。魏軍の総大将である龐涓は、邯鄲を落としたものの、斉軍の急襲に対応するため、急ぎ大梁へ引き返します。しかし、斉軍は桂陵に伏兵を配置し、疲弊した魏軍を待ち伏せしました。長距離の急行軍で疲弊した魏軍は、斉軍の待ち伏せ攻撃により大敗を喫し、龐涓は捕虜となります。

戦後の展開：風雲再び

桂陵の戦いで大敗した魏は、韓と盟を結び、斉の襄陵を包囲します。しかし、斉は楚に調停を依頼し、最終的に魏は趙に邯鄲を返還し、斉との戦争は一時的に終結しました。しかし、この和平は一時的なもので、紀元前342年には馬陵の戦いが勃発し、斉が魏に決定的な勝利を収め、覇権を握ることになります。

まとめ

桂陵の戦いは、孫臏の優れた戦略「囲魏救趙」によって、小国であった斉が強国であった魏を打ち破った戦いです。この戦いは、戦国時代の勢力図を大きく変えるだけでなく、孫臏の知略が後世に語り継がれることとなりました。

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