国中平野

国中平野（くになかへいや）

概要

国中平野は、佐渡島の中央部に位置する平野で、東西約12キロメートル、南北約8キロメートルの広がりを持ち、面積は約100〜150平方キロメートルに及びます。佐渡島の人口の約8割がこの平野に集中しており、島内における稲作の中心地として重要な役割を果たしています。

地形

国中平野は、北に標高1000メートル級の大佐渡山地、南に標高600メートル級の小佐渡山地に挟まれた地溝帯に位置しています。この平野は、以下の要素から構成されています。

台地状地形: 両山地の裾野に広がる台地状の地形
加茂湖低地: 北東海岸に位置する加茂湖とその周辺の台地状地形
国中低地: 平野中央部の沖積低地
砂丘帯: 南西海岸に発達した標高20メートルほどの砂丘帯（「雪の高浜」「長石浜」など）

平野の中央部は、北東の台地から南西方向に向かってわずかに傾斜しており、大佐渡山地と小佐渡山地から流れる河川が国府川に合流し、真野湾へと注ぎます。特に藤津川と小倉川が国府川に合流する付近は標高が最も低く、約0.5メートル程度です。この地域は、かつて「菱池」と呼ばれる沼沢地でしたが、明治時代に埋め立てられました。

気候

国中平野は対馬暖流の影響を受け、比較的温暖な気候です。積雪量は新潟県本土に比べて少なく、シュロ、シャリンバイ、ビワ、タケ、ツバキなどの植物が自生しています。

人文史

佐渡島では縄文時代に遡る遺跡が多数発見されており、その分布は島全体に均等ではありません。特に国中平野の南西部の真野湾岸では、海岸段丘上に26基の古墳が集中しています。これらの古墳は、島外から来た人々が湾岸部に定住したことを示唆していると考えられています。

平野の低湿な地域からは、縄文時代の貝塚、弥生時代の勾玉や宝玉の加工所（玉作遺跡）、住居遺跡、条里遺構などが発見されています。中でも千種遺跡は代表的な遺跡です。平野の周辺部では製塩遺跡も見つかっています。

現代では、河川改修によって平野は水郷地帯となり、佐渡島における米作の中心地となっています。また、平野の各地には市街地が形成され、島内人口の大部分がこの地域に集中しています。

参考文献

『日本歴史地名大系　15　新潟県の地名』、平凡社、1986年。ISBN 4-582-49015-8
『日本地名大辞典 15 新潟県』、角川書店、1989年。ISBN 4-04-001150-3

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