ビワ

ビワ：甘く香る果実と、古来からの薬用としての利用

ビワ（学名：Rhaphiolepis bibas）は、バラ科に属する常緑の高木です。中国南西部を原産地とし、日本へは古くから渡来し、現在では主に温暖な地域で栽培されています。初夏に熟す黄橙色の実は、独特の甘さと風味で知られ、生食や加工品として親しまれています。その一方で、葉や種子には薬効成分が含まれる一方、毒性を持つ成分も含まれるため、注意が必要です。

ビワの形態と生態

ビワは高さ5～10メートルほどになる小高木で、大きく光沢のある葉をつけます。葉の裏面には細かい毛が生えています。晩秋から冬にかけて、芳香のある白い花を咲かせ、初夏に直径3～4センチ[[メートル]]の果実を結びます。果実は偽果で、内部には数個の種子が含まれています。果肉は甘く、生食のほか、ジャムや缶詰などに加工されます。

ビワは比較的温暖な気候を好み、やや日陰にも耐えます。土壌は砂壌土が適しており、根は深く張ります。栽培には実生や接木、挿し木などの方法があり、果実の収穫には7～8年かかります。自家受粉するため、他品種の混植は必要ありません。

ビワの分類

ビワの分類は、近年見直しが進んでいます。従来はビワ属（Eriobotrya）に分類されていましたが、2020年の分子系統学的研究により、シャリンバイ属（Rhaphiolepis）に統合されることが提唱されました。しかし、この分類については、異論も存在します。

ビワの分布

中国南西部が原産地であるビワは、日本へは古代に渡来したと考えられています。現在では、本州の関東地方以西、四国、九州などに分布し、特に温暖な地域で栽培が盛んです。その他、インドなどにも広がっており、それぞれの地域でビワを用いた様々な療法が伝えられています。日本では江戸時代から栽培が盛んになり、寺院を中心にビワの葉を用いた治療も行われていました。

ビワの利用

食用

ビワの実は5～6月が旬で、生食のほか、缶詰、ジャム、シロップ煮などに加工されます。果肉は橙黄色で果汁が多く、さっぱりとした甘みがあります。しかし、種子が大きいため廃棄率は30%以上にもなります。近年では種なしビワも開発されています。

薬用

ビワの葉（枇杷葉）や種子（枇杷核）は、古くから薬用として利用されてきました。葉にはタンニンやアミグダリンなどの成分が含まれ、咳止めや胃炎、皮膚病などに効果があるとされています。ビワ茶や枇杷葉温圧療法などが知られています。種子にも薬効成分が含まれる一方、アミグダリンは分解されると青酸を生成するため、注意が必要です。近年では、アミグダリンを有効成分とするがん治療法が提唱されてきましたが、科学的な根拠は認められておらず、危険性も指摘されています。ビワの葉入り茶は機能性表示食品として販売されていますが、効果効能については個人の責任において判断する必要があります。

その他の利用

ビワの木材は堅くて粘り強いため、杖や木刀の材料として利用されてきました。

ビワの栽培と生産

日本では、長崎県、千[[葉県]]、和歌山県などが主要な産地です。近年は、高齢化や気候変動などの影響により生産量が減少傾向にあります。促成栽培も試みられていますが、安定した生産が課題となっています。

安全性に関する注意

ビワの種子には、アミグダリンという青酸配糖体が多く含まれています。アミグダリン自体は無毒ですが、体内で分解されると青酸を生成するため、大量摂取は危険です。特に、生の種子を粉末にした食品には高濃度のシアン化合物が含まれる可能性があり、注意が必要です。熟した果肉を通常の量で摂取する分には、問題ありません。

まとめ

ビワは、甘く美味しい果実と、古来からの薬用としての利用が知られる植物です。その多様な側面を知ることで、より安全に、そして効果的に利用することが可能になります。ただし、薬用としての利用については、必ず専門家の指導に従うことが重要です。

もう一度検索