国勢調査で宗教を「ジェダイ」と回答する動き

ジェダイと国勢調査

国勢調査で宗教を『ジェダイ』と応じる動きは、2001年、英語圏諸国で誕生した草の根運動として知られています。これは、SF映画『スター・ウォーズ』に登場する架空の宗教組織であるジェダイに着想を得たもので、実際に国勢調査の宗教欄に『ジェダイ』と回答することを呼びかける電子メールが広まりました。

起源

そうした呼びかけは、2001年の国勢調査が行われる前に、ニュージーランドを初めとした国々で活発になり、当初はこの運動が単なるジョークであるとの反映から始まりました。影響力を実証するためとして、こうした回答が8,000人に達すれば、ニュージーランド政府はこの回答を公式な宗教として認めるとされました。

英国における影響

イングランドとウェールズでは、2001年の国勢調査で約390,127人、つまり全体の約0.8%がジェダイと答え、これがシク教やユダヤ教、仏教よりも多い人数となりました。特にブライトンではジェダイ回答者の割合が2.6%に達したのです。ここで注目すべきは、国勢調査の設問には宗教に関する罰則がないとの確認がなされていたことです。この結果、ジェダイは固有コード「896」が付与され、国家統計局はこれは単に頻繁に用いられる回答として扱っただけであり、正式な宗教として認めたわけではないと説明しています。ジョン・プリンガー氏も、こうした回答が国勢調査の質を高めたのだと指摘しました。さらに、国勢調査結果発表のプレスリリースでは「390,000人のジェダイたちがいる」といったユーモラスな表現も見られました。

スコットランド、オーストラリアの事例

スコットランドでは、2001年の国勢調査で14,052人が「ジェダイ」と答えました。オーストラリアでも急激なブームが起こり、同年、人口の0.37%にあたる70,000人以上がジェダイの一員だと名乗りました。この運動はインターネット上での流行として広まり、多くの支持を得た結果、市場調査での分析がなされるほどの社会的影響を残しました。

その後、2011年にはオーストラリアで64,390人、ニュージーランドでも53,000人以上がジェダイとして回答しました。このような現象は、先進国における奇妙な宗教的アイデンティティの一片を示しています。

カナダ、アイルランドの反応

カナダでは、2001年の国勢調査で21,000人、2011年には9,000人がジェダイの騎士と答え、アイルランドではドイル・エアランでその信頼性が問われる中、ジェダイの数が2,050人と記録されました。

批判と議論

この現象には批判も存在します。特にオーストラリア無神論財団は、冗談としての回答が無宗教者たちの政治的影響力を削ぐ恐れがあるとして、そうした回答の投稿を慎むよう呼びかけています。

結論

ジェダイとして宗教を申告する運動は、ただのジョークに過ぎないと思われがちですが、それには宗教に対する興味や疑問、さらには信仰とは何か、という根本的な問いが宿っています。この現象は、現代社会における宗教的多様性や個人の新しいアイデンティティの形を示すひとつの側面であるといえるでしょう。今後もこのような形での宗教的アイデンティティを持った人々の動きは、他の国や地域でも見られるかもしれません。

もう一度検索