国境離島警備隊

国境離島警備隊について

国境離島警備隊は、日本の領海基線を有する離島における警備活動を専門とする部隊です。沖縄県警察と福岡県警察に設置され、日本の国境警備の一翼を担っています。特に、尖閣諸島周辺での中国による挑発的な行動や不法上陸事件に対応するため、高度な訓練と装備を備えています。

来歴

1972年の沖縄返還後、尖閣諸島は日本により統治されていますが、中国と台湾が領有権を主張し、特に中国は2008年以降、公船による領海侵入や漁船による体当たり、軍用機による領空侵犯などの不法行為を繰り返しています。2012年には香港活動家、2016年には中国の活動家が尖閣諸島に上陸する事件も発生し、沖縄県警察により検挙されました。こうした事態を受け、沖縄県警察は2015年から海上保安庁の巡視船に機動隊員を同乗させ警戒にあたっていましたが、より専門的な部隊の必要性が高まり、国境離島警備隊が設置されるに至りました。

編成

国境離島警備隊は、2020年4月に沖縄県警の警備部に151人で発足しました。隊長は警視正が務め、経費は全額国庫負担となっています。主な任務は以下の通りです。

国境離島における警備活動と警戒
国境離島警備に関する訓練
警察用航空機の運航と整備（一部を除く）
その他、警備部内の他の所掌に属さない事項

隊員は、相手を制圧するための専門訓練を受けた者や、大型ヘリコプターの操縦士などで構成され、沖縄本島に常駐します。遮蔽物のない自然環境での武装集団への対応を想定し、既存の特殊急襲部隊（SAT）とは異なる訓練を重ねています。SATがテロリストの制圧を目的とするのに対し、国境離島警備隊は、より広範な事態に対応できるよう訓練されており、奇襲などを活用して武装集団を制圧する能力を磨いています。

装備と展開

万が一、漁民に偽装した武装集団が離島に不法上陸した場合、自動小銃やボディアーマーを装備した隊員がヘリコプターで現地に急行し、武装集団を摘発することが想定されています。福岡県警もEC225LP大型ヘリコプターを配備し、沖縄県警と共に隊員輸送などを担当します。また、スクーバ器材や警備用ボートも導入されており、アメリカ海兵隊などで訓練を受けた可能性も指摘されています。

グレーゾーン作戦への対応

中国は、中国海警局や海上民兵を利用した海上グレーゾーン作戦を展開しており、日本政府が自衛隊に防衛出動を命令できない程度の低烈度で権益を主張する可能性があります。このような事態に対し、まずは警察力が対応することになり、警察力から自衛隊による対応へとシームレスに移行することが重要です。そのため、海上保安庁、海上自衛隊、警察庁による合同訓練が重ねられており、2021年11月には五島列島で国境離島警備隊も加わった共同訓練が実施されました。2022年11月には、陸上自衛隊の水陸機動団も参加し、より実践的な訓練が行われました。

まとめ

国境離島警備隊は、日本の国境を守るために重要な役割を担っています。尖閣諸島周辺の不法行為やグレーゾーン作戦に対応するため、高度な訓練を受け、装備を拡充し、関係機関との連携を強化しています。これにより、日本の領土と国民の安全を守るための体制が強化されています。

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