国宝 (小説)

国宝

『国宝』は、作家・吉田修一による長編小説です。2017年から2018年にかけて『朝日新聞』に連載され、加筆修正を経て2018年に朝日新聞出版から単行本が刊行されました。上下巻の二部構成で、「青春篇」「花道篇」と題されています。

概要

本作は、吉田修一の作家生活20周年を記念する作品であり、朝日新聞出版の10周年記念作品でもあります。執筆のきっかけは、溝口健二監督の映画『残菊物語』に登場する演目『積恋雪関扉』に感銘を受けたことだとされています。

物語は、歌舞伎の世界を舞台に、二人の若者の人生を描きます。一人は、任侠の世界に生まれながらも歌舞伎役者に引き取られた喜久雄。もう一人は、歌舞伎の名門に生まれた俊介。境遇は異なるものの、二人は芸の道で互いに影響し合いながら成長していきます。

『国宝』は、第69回芸術選奨文部科学大臣賞、第14回中央公論文芸賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

あらすじ

物語は、任侠の世界で生まれた喜久雄が、ひょんなことから歌舞伎役者に引き取られるところから始まります。一方、歌舞伎の名門に生まれた俊介は、幼い頃から厳しい稽古に励んでいます。二人は、それぞれ異なる環境で育ちますが、歌舞伎という共通の道を歩む中で、互いを意識し、時に反発し、時に認め合いながら成長していきます。

喜久雄は、持ち前の才能と情熱で歌舞伎の世界で頭角を現していきます。俊介は、名門の血筋を受け継ぎ、そのプレッシャーと戦いながら、己の芸を磨いていきます。二人の若者が、芸の道を極めようとする姿は、観る者の心を揺さぶります。

書誌情報

小説

吉田修一『国宝』朝日新聞出版、上下巻
上巻：2018年9月7日発売、ISBN 978-4-02-251565-0
下巻：2018年9月7日発売、ISBN 978-4-02-251566-7
吉田修一『国宝』朝日新聞出版〈朝日文庫〉、上下巻
上巻：2021年9月7日発売、ISBN 978-4-02-265008-5
下巻：2021年9月7日発売、ISBN 978-4-02-265008-5

漫画

吉田修一（原作）・三国史明（作画）『国宝』小学館〈ビッグコミックス〉、既刊1巻（2024年9月30日現在）
2024年9月30日発売、ISBN 978-4-09-863078-3

映画

2025年には、李相日監督、吉沢亮主演で映画化が予定されています。李監督が吉田修一作品を映画化するのは、『悪人』『怒り』に続き3度目となります。

映画版では、渡辺謙、高畑充希、三浦貴大など、『怒り』にも出演したキャストが再集結しています。

キャスト

立花喜久雄：吉沢亮、黒川想矢
大垣俊介：横浜流星、越山敬達
花井半二郎：渡辺謙
春江：高畑充希
大垣幸子：寺島しのぶ
万菊：田中泯
彰子：森七菜
藤駒：見上愛
立花権五郎：永瀬正敏
立花マツ：宮澤エマ
梅木：嶋田久作
竹野：三浦貴大

スタッフ

原作：吉田修一『国宝』（朝日新聞出版刊）
監督：李相日
脚本：奥寺佐渡子
配給：東宝

漫画

『ビッグコミックスピリッツ』（小学館）にて、2024年23号より同名のコミカライズが連載されています。作画は三国史明が担当し、小説を原作とした内容となっています。

外部リンク

* 吉田修一 作家生活20周年記念作品 『国宝』公式サイト

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