国家安全保障に関する官邸機能強化会議

国家安全保障に関する官邸機能強化会議とは

国家安全保障に関する官邸機能強化会議は、第90代内閣総理大臣である安倍晋三が主宰した会議の一つです。安倍首相が以前から提唱していた首相官邸機能強化策の一環として、日本版NSC（国家安全保障会議）の創設に向けた具体的な構想を練り、法案の基礎となる報告書を作成することを目的として設置されました。

会議の概要

会議は2006年11月13日に発足し、議長には安倍晋三首相自身が、議長代理には国家安全保障問題担当首相補佐官であった小池百合子氏が就任しました。約2週間に1度のペースで開催され、2007年2月27日に小池氏によって報告書が提出され、会議はその役割を終えました。

報告書の内容

報告書の中心となる提言は、従来の安全保障会議を根本的に見直し、以下の3つの機能を首相の直轄下で統合的に行う新たな機関、すなわち国家安全保障会議を設置するというものでした。

1. 国防の基本方針や防衛計画の大綱を含む、外交安全保障の基本方針の政策立案
2. 関係省庁間の調整
3. 武力攻撃事態などの重大な緊急事態に対する基本方針の政策立案

この報告書を基に、「安全保障会議設置法等の一部を改正する法律案」が第166回国会に提出されました。この法案は、安全保障会議を国家安全保障会議に改組し、事務局を設けることなどを内容としていました。しかし、教育関連三法改正案、年金問題、国家公務員法改正案などの他の重要法案との兼ね合いから、継続審議となりました。その後、安倍首相の辞任により法案は一度廃案となります。

法案の再提出と成立

2012年の第46回衆議院議員総選挙で自民党が大勝し、安倍晋三氏が再び総理大臣に就任すると、第185回国会において法案は再提出され、ついに成立しました。これにより、日本版NSCとして国家安全保障会議が正式に発足しました。

情報漏洩事件

この会議の過程で、情報漏洩に関する問題が表面化しました。特に注目されたのは、防衛省における人事騒動とイージス艦機密情報漏洩事件です。

防衛省「情報保全」人事騒動

2007年7月4日に防衛大臣に就任した小池百合子氏は、報告書に盛り込まれていた情報保全システムの構築を目指し、守屋武昌防衛事務次官の交代を計画しました。小池氏は後任として警察庁出身の西川徹矢大臣官房長を起用しようとしましたが、守屋氏が内閣官房長官や安倍首相に直接働きかけた結果、小池氏の人事案は頓挫しました。この人事案が情報漏洩の結果、潰えたことは、皮肉にも情報保全の重要性を示す出来事となりました。

イージス艦機密情報漏洩事件

この会議とは直接的な関連はないものの、同時期にはイージス艦の機密情報が漏洩する事件が発生し、安全保障における情報管理の甘さが浮き彫りとなりました。

まとめ

国家安全保障に関する官邸機能強化会議は、日本における安全保障体制の強化に大きく貢献しました。会議での議論と報告書は、その後の国家安全保障会議の設立に繋がりましたが、情報漏洩問題という課題も残しました。この会議の経験は、今後の安全保障政策において、情報管理の徹底と組織運営の重要性を再認識させる教訓となりました。

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