国性爺合戦

国性爺合戦

『国性爺合戦』は、近松門左衛門が作った人形浄瑠璃作品で、後に歌舞伎としても上演されるようになりました。この物語は全五段から成り、1715年に初めて大坂の竹本座で上演されました。作品の基盤となったのは、鄭成功という歴史的な人物を題材にしたもので、彼は中国人の父と日本人の母を持ち、台湾を拠点に清朝に対抗する明朝復興運動に尽力したことで知られています。作品の内容は史実を基にしながらも、芸術的な表現が施され、物語は新たな展開を見せます。特に、和藤内（鄭成功）が異母姉の夫である甘輝との同盟を結ぶ「甘輝館」のエピソードが有名です。この作品は、初演から17か月間も続演されるという記録を打ち立てました。

あらすじ

一段目

物語は、明朝の第17代皇帝思宋烈の妃、華清が臨月を迎えているところから始まります。そこへ、韃靼王の使者が現れ、妃を献上するよう求めます。李蹈天はこの要求に賛成するも、呉三桂は反対します。李蹈天は自らの左目を切り取り、使者に渡すことでその場をしのぎます。しかし、彼は裏切り者となり、皇帝は命を落とします。華清妃は呉三桂の助けで逃げますが、最終的に海で命を落とします。

二段目

栴檀皇女は小舟で平戸に漂着し、元役人鄭芝龍によって保護されます。彼は日本で漁師の老一官と名乗り、妻と子を持っていました。彼らは明朝復活のために協力を求め、甘輝のもとに向かいます。

三段目

獅子ヶ城に到着したものの、警護に阻まれますが、錦祥女が接触に成功します。彼女は甘輝に紐づく関係から、味方にしてもらうための条件を提示しますが、甘輝は彼女を殺すことができず、彼女は自ら命を絶ちます。

四段目

小むつと栴檀皇女が中国へ渡る一方、呉三桂は皇子を隠して生き延びていました。そこに鄭芝龍たちが現れ、共に敵との戦いに挑むことになります。

五段目

和藤内、甘輝、呉三桂が再会し、南京城に攻め入り、敵を打ち倒して皇子を位に就けます。

登場人物

• - 和藤内：主人公で、鄭成功をモデルにしたキャラクター。明朝復興に尽力します。
• - 小むつ：和藤内の妻。
• - 鄭芝龍：和藤内の父で、明の臣です。
• - 栴檀皇女：明の皇帝の妹。
• - 甘輝：将軍で、物語の重要な対立者です。
• - 呉三桂：忠臣として活躍します。
• - 錦祥女：甘輝の妻。

作品の影響

この作品は、竹本座の人気を受けて3年越しの17か月続演という記録を残し、歌舞伎や人形浄瑠璃の公演において今も演じられ続けています。また、その名場面や音楽も後世に引き継がれ、多くの人々に親しまれています。特に和藤内が出す「南無三!」というセリフは観客の心をつかみ、歌舞伎の名演技につながる要素となりました。近松門左衛門は後にこの作品の続編や関連作品も執筆しましたが、いずれも傑作には及ばなかったとも言われています。

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