国本伊代

国本伊代

国本伊代（くにもと いよ、1938年10月20日 - ）は、日本の歴史学者であり、中央大学の名誉教授です。専門はラテンアメリカ近現代史で、特にメキシコ革命やカトリック教会に関する研究で知られています。

経歴

満州・吉林省に生まれた国本伊代は、東京外国語大学スペイン語科を卒業後、東京大学大学院社会科学研究科博士課程に進みましたが、1975年に中退。その後、アメリカ合衆国テキサス大学大学院博士課程を修了し、歴史学博士の学位を取得しました。1978年、中央大学商学部の専任講師となり、1980年に助教授、1985年に教授へと昇進しました。

1998年には、「メキシコ革命とカトリック教会 国民国家形成過程における国家と教会の対立・協調・共存関係」と題する論文で、東京大学から博士（学術）の学位を授与されています。2009年に中央大学を定年退任し、名誉教授となりました。

学会活動にも積極的に参加し、日本ボリビア協会の理事や、1998年から2000年まで日本ラテンアメリカ学会の理事長を務めました。長年の教育・研究活動が評価され、2018年には瑞宝小綬章を受章しています。

研究内容

国本伊代の研究は、ラテンアメリカ、特にメキシコの近現代史に焦点を当てています。メキシコ革命における国家とカトリック教会の関係、ボリビアの日本人移民社会、ラテンアメリカの都市と社会など、幅広いテーマに取り組んでいます。詳細な史料に基づいた実証的な研究が特徴で、ラテンアメリカの歴史と社会に対する理解を深める上で重要な貢献をしています。

著書

国本伊代は、多数の著書を執筆・編集しており、その一部を以下に紹介します。

『ボリビアの「日本人村」 サンタクルス州サンファン移住地の研究』（中央大学出版部、1989年）
『概説ラテンアメリカ史』（新評論、1993年）
『メキシコ1994年』（近代文芸社、1995年）
『ラテンアメリカ 悠久の大地・情熱の人々』（総合法令出版、1995年）
『メキシコの歴史』（新評論、2002年）
『ラテンアメリカ紀行』（弘学社、2005年）
『メキシコ革命』（山川出版社、世界史リブレット、2008年）
『メキシコ革命とカトリック教会 近代国家形成過程における国家と宗教の対立と宥和』（中央大学出版部、2009年）
『ピリャとサバタ』（山川出版社、世界史リブレット、2014年）

これらの著書は、ラテンアメリカ史を学ぶ学生や研究者にとって貴重な資料となっています。

共編著・翻訳

国本伊代は、共編著や翻訳も多数手がけています。以下はその一部です。

『ラテンアメリカ社会と女性』（乗浩子共編著、新評論、1985年）
『ラテンアメリカ都市と社会』（乗浩子共編著、新評論、1991年）
『コスタリカを知るための55章』（編著、明石書店、2004年）
* 『コスタリカの歴史 コスタリカ高校歴史教科書』（イバン・モリーナ, スティーヴン・パーマー、小澤卓也共訳、明石書店、2007年）

これらの業績からも、国本伊代のラテンアメリカ研究に対する幅広い貢献がうかがえます。

国本伊代は、日本のラテンアメリカ研究において重要な役割を果たした学者の一人と言えるでしょう。

もう一度検索