国松久弥

国松久弥（くにまつ きゅうや）

国松久弥（1903年5月1日 - 1986年4月14日）は、日本の著名な経済地理学者であり、茨城大学の名誉教授でした。彼の研究は、地理学、特に経済地理学の分野において、多大な影響を与えました。また、独文学者の国松孝二は彼の弟にあたります。

経歴

国松久弥は、千葉県船橋町（現在の船橋市）で生まれました。1926年に東京帝国大学経済学部を卒業後、彼は学術の世界へと進み、数々の教育機関で教鞭をとりました。1931年には上智大学で講師を務め、その後、大東文化学院、明治学院、巣鴨経済専門学校、千葉工業大学、大東文化大学などの教授を歴任しました。1952年には茨城大学の教授に就任し、1969年に定年退官するまでその地位にありました。茨城大学退官後は、名誉教授の称号を受け、専修大学や金沢経済大学でも教授として教鞭をとりました。

研究と業績

国松久弥の研究は、経済地理学を中心に、都市地理、人文地理、地政学など、幅広い分野に及びました。彼の著書は、地理学の基礎理論から応用までを網羅し、学生や研究者にとって重要な参考資料となりました。

特に、『都市地理序説』、『人文地理学と文化景観』、『経済地理学基礎理論』などは、彼の代表的な著作として知られています。また、フリードリッヒ・ラッツェルの生涯と学説に関する研究や、満洲、中国、東亜に関する地誌の研究も、彼の重要な業績として挙げられます。

国松久弥は、海外の地理学の研究成果を日本に紹介することにも尽力しました。オットー・グラーフの『地理学の概念』、フリッツ・ウェントの『郷土地理教育入門』など、多くの翻訳を手がけ、日本の地理学の発展に貢献しました。

著書一覧

以下は、国松久弥の主要な著書の一部です。

『都市地理序説』(1929)
『人文地理学と文化景観』(1930)
『フリードリッヒ・ラッツェル その生涯と学説』(1931)
『最近の満洲国地誌』(1937)
『世界小国地誌』(1937)
『新支那地誌』(1938)
『国境の話』(1939)
『人文地理入門』(1940)
『地中海』(1940)
『経済地理』(1942)
『地政学とは何か』(1942)
『経済地理学入門』(1948)
『新日本地理』(1956)
『政治地理学概論』(1957)
『都市経済地理学』(1969)
『経済地理学説史』(1979)

晩年

国松久弥は、晩年まで研究活動を続け、地理学の発展に貢献しました。彼の著作や翻訳は、現在でも多くの研究者や学生に読まれており、その影響力は衰えていません。

国松久弥は、日本の地理学界における重要な人物の一人として、その名が記憶されています。

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