国松孝二

国松孝二：ドイツ文学研究の巨星

国松孝二（1906年11月3日 - 2006年5月8日）は、日本のドイツ文学者であり、教育者です。彼の業績は、ドイツ文学の研究、翻訳、そして辞書編纂と多岐に渡り、日本のドイツ語教育とドイツ文学研究に大きな影響を与えました。

生涯と業績

国松孝二は、千葉県船橋市で生まれました。旧制水戸高等学校を経て、1930年に東京帝国大学文学部独文科を卒業。その後、旧制武蔵高等学校教員、九州帝国大学教授、東京大学教養学部・文学部教授、立教大学教授、専修大学教授を歴任しました。

国松孝二は、中世から近現代までのドイツ語ドイツ文学に精通しており、特にゲーテ、シュトルム、ハンス・カロッサなどの作品を翻訳しました。彼の翻訳は、原典のニュアンスを忠実に伝えつつ、読みやすい日本語で表現されていると評価されています。

また、国松孝二は辞書編纂者としても知られており、編集長を務めた『独和大辞典』（小学館）は、ドイツ語学習者にとって非常に重要なツールとなっています。この辞書は、詳細で分かりやすい解説が特徴であり、特に「話法の不変化詞」「話法性をあらわす副詞」の記述は高く評価されています。

2002年には、東京大学教授の柴田翔の働きかけにより、国松孝二の蔵書が一橋大学大学院言語社会研究科言語資料室に寄贈され、「国松文庫」として公開されています。

2006年5月8日、肺炎のため99歳で逝去しました。

家族

国松孝二の長男はロシア文学・比較文学者の国松夏紀（桃山学院大学教授）、次男は文学研究者の国松春紀です。

著書と翻訳

著書

『人間人生懐疑 わが箴言』（白水社、1974年）
『浮塵抄』（同学社、1988年）

翻訳

ヘルマン・ヘッセ『乾草の月 ヘルマン・ヘッセ短篇小説』（白水社、1938年）
ゴトフリート・ケラー『狂へる花 ウルズラー』（岩波文庫、1938年）
E・T・A・ホフマン『悪魔の霊薬』（冨山房百科文庫、1939年）
テオドール・シュトルム『海の彼方より・聖ユルゲンにて』（岩波文庫、1940年）
ゲーテ『ヘルマンとドロテーア』（新潮文庫、1952年）
ゲーテ『若きウェルテルの悩み』（養徳社、1950年）
ヨハンナ・スピリ『アルプスの少女』（三笠書房、1956年）

その他多数

参考文献

国松孝二『人間人生懐疑 わが箴言』（白水社、1974年）
国松孝二『浮塵抄』（同学社、1988年)

外部リンク

一橋大学大学院言語社会研究科言語資料室 国松文庫

国松孝二は、その長い生涯を通じて、ドイツ文学の研究と教育に情熱を注ぎました。彼の業績は、後世のドイツ文学研究者や学習者にとって、貴重な遺産となっています。

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