国武豊喜

國武豊喜のプロフィール

國武豊喜（くにたけ とよき）は1936年2月26日生まれの日本の化学者および教育者です。彼は株式会社ナノメンブレンの取締役を務める一方、北九州産業学術推進機構の理事長をも兼務し、さらには北九州市立大学の元副学長でもあります。

学歴とキャリア

福岡県久留米市で生まれた國武氏は、まず久留米大学附設高等学校を卒業し、その後九州大学工学部応用化学科に進みました。大学4年生の時には、秋吉三郎教授と麻生忠二助教授の指導のもと、高分子化学に関する研究を開始します。

その後、彼は修士課程を修了し、秋吉教授が提案したアメリカの大学院教育システムに影響を受け、ペンシルベニア大学にて博士号を取得しました。博士課程での指導教官はCharles C. Price氏でした。約2年半の研究を経て博士号を取得後、カリフォルニア工科大学のCarl G. Niemannグループで博士研究員として経験を積みます。

九州大学に戻ってからは、助教授として若手の研究者たちを指導し、その後教授に昇格。研究内容は高分子合成化学に関連しており、特に加水分解酵素や環化重合、エンザイムモデルについての研究が挙げられます。特筆すべきは、世界で初めて人工的な脂質二分子膜の形成に成功した研究です。

研究分野と業績

彼の研究は常に新しい技術への挑戦に満ちており、特に無機－有機ハイブリッドナノ薄膜の合成に関する技術を発展させてきました。退官後も研究を続けており、現在彼は数10nmの膜厚を持ちながらも高い強度を保つナノ薄膜を成功裏に合成する技術を持っています。ナノメンブレン社では、このナノ薄膜がコアの技術として商業化されています。

1999年に九州大学を退官した後、北九州市立大学の教授として新たな活動を開始し、さらには理化学研究所のディレクターとしても若い研究者の育成に力を入れました。彼の教育は、多くの門弟に受け継がれ、代表的な指導を受けた研究者には新海征治、岡畑恵雄、君塚信夫、米澤徹などがいます。

受賞歴と評価

國武氏はその研究業績により数々の賞で表彰されています。代表的な受賞歴には、2001年の日本学士院賞、2007年の文化功労者、そして2014年には文化勲章が含まれます。また、2011年には瑞宝重光章を授与され、その貢献が高く評価されています。

人物的側面

彼の本名は「國武豊喜」と表記され、文化勲章受賞時にもこの名で記載されているが、旧字体の「國」は新字体に置き換えられることもあります。国武氏のキャリアは、科学界における新しい潮流を創出し、次世代の研究者に多くの影響を与えることに貢献していると言えるでしょう。

まとめ

國武豊喜は、化学分野における革新を追求し、教育者としても優れた実績を残してきた重要人物です。彼の研究は、高分子化学の分野だけでなく、ナノ技術の発展にも寄与し、その影響は広範囲に及びます。

もう一度検索