国民党 (韓国 1971-1973)

韓国の政党、国民党：朴正熙政権への挑戦と短い歴史

1970年代初頭の韓国は、朴正熙大統領率いる民主共和党の支配が確立しつつあった時代でした。そんな中、1970年、民主共和党と、当時野党だった新民党による二大政党体制に風穴を開けようと、新たな政党「国民党」が誕生しました。

国民党の結成には、前大統領の尹潽善氏や、朴己出氏、張俊河氏といった、新民党を離党した有力政治家たちが中心となって関わっていました。彼らの目的は、朴正熙政権による政治状況を一変させることでした。

国民党の掲げた政策

国民党は、いくつかの主要政策を掲げていました。それは、当時の韓国社会の抱える問題に対する彼らの解決策を示すものでした。

まず、外交政策では、対米依存からの脱却を目指し、多角的な外交関係の構築を主張しました。経済政策では、急激な経済成長によって生じた経済格差の是正や、寡占企業の排除による競争促進、そして中小企業の育成などを訴えました。さらに、国民党は、政府によるマスコミ操作の阻止と、国民の精神と民族意識を高める民族教育の充実を文化・教育政策の基本として掲げていました。

これらの政策は、朴正熙政権の政策とは対照的なものであり、国民党が韓国社会に新たな選択肢を提供しようとしたことを示しています。

大統領選挙と国会議員選挙での苦戦

1971年4月に行われた大統領選挙では、国民党は尹潽善氏を大統領候補に擁立しようとしましたが、尹氏の辞退により、代わりに朴己出氏が立候補しました。しかし、朴正熙大統領と金大中氏（新民党）の激しい争いに注目が集まる中、国民党は4万票にも満たない票数しか獲得できず、惨敗を喫しました。この選挙後、朴己出氏は国民党を離党しています。

続く国会議員総選挙でも国民党は、121名もの候補者を出したものの、当選者はわずか1名という結果に終わりました。この結果が示す通り、国民党は、国民の支持を得ることに苦戦していたのです。

政党活動の停止と国民党の終焉

1972年10月、朴正熙大統領による「十月維新」と呼ばれる非常事態宣言が出され、国民党の政治活動は事実上停止されました。その後、改正された政党法に基づく基準を満たすことができず、1973年7月には中央選挙管理委員会によって政党登録が取り消されました。

国民党は、わずか3年ほどの短い活動期間しかありませんでしたが、朴正熙政権への挑戦という重要な役割を果たしました。彼らの政策や活動は、韓国政治史における重要な一頁を刻んでいます。国民党の興亡は、韓国民主主義の発展における複雑な政治的、社会的な力学を理解する上で、貴重な教訓となります。また、国民党の活動は、韓国における民主主義と自由な政治活動の課題を浮き彫りにしたとも考えられます。この短い期間ながらも、国民党の存在は韓国政治史に大きな足跡を残しました。

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