国民大会

国民大会（こくみんたいかい）とは

国民大会は、1946年に制定された中華民国憲法に基づき設立された機関です。全国民を代表し、国権を行使する最高権力機関として位置づけられていました。しかし、2005年6月7日に憲法改正案が採択され、国民大会に関する条項は凍結、その機能は停止されました。

概要

1947年の中華民国憲法の規定により、国民の代表が中央政権を行使する機関として設立されました。五権分立体制の中で最高機関と位置づけられていました。本来、総統任期満了前90日に集会を行うはずでしたが、1953年の改選時に中国大陸の選挙区で選挙が実施できず、第一期国民大会代表の任期は無期限延長となりました。このため、国民からは「万年国会」と揶揄されていました。

2000年には非常設機関となり、2005年6月の憲法改正により、国民大会の権限は他の機関に移管されたり、国民に直接付与されたりし、組織自体が「凍結」されました。

なお、「廃止」ではなく「凍結」となったのは、憲法改正が限定的なものであり、憲法本文が変更されていないためです。関連する法律も廃止されていません。国民大会秘書処の建物は、現在も台北市西門町付近に存在し、外観を見ることができます。

成立背景

孫文は、政府機能を政権と治権に分け、国民が選挙、罷免、創制、複決の4つの政権を行使できるものとしました。治権は五院が担い、国民に必要な協力を提供するとしました。その中で、国民大会は政府と領土主権を監督し、憲法改正などの中央政権を担うとされ、憲法上、五院よりも上位に位置づけられました。これにより、国民は選挙で選ばれた代表を通じて中央政権を行使し、政府の治権を掌握し、政権と治権の均衡を図ることが意図されました。

凍結前の権限

中華民国憲法（1947年）で定められた国民大会の職権は以下の通りでした。

総統及び副総統の選挙
総統及び副総統の罷免
憲法改正
立法院が提出する憲法修正案の議決

その後、職権は数度にわたり修正され、憲法増補条文第1条第2項では以下のようになっています。

立法院が提出する憲法修正案を議決
立法院が提出する領土変更案を議決
立法院が提出する総統、副総統の弾劾案を議決

2005年の国民大会凍結後、これらの職権は立法院、司法院大法官会議、公民投票に移管されました。

国民大会の集会

憲法規定では、総統任期完了90日前に召集され、必要に応じて臨時召集も可能でした。しかし、1949年に国民政府が台湾に移転した後、大陸から移った第一回国民大会代表は改選が不可能となり、任期が無期限に延長され、「万年代表」と揶揄されました。

2000年の憲法増修条文で、第三回国民大会代表の任期を2000年5月19日までとし、その後の組織は以下のように改編されました。

代表定員を300名とする
憲法修正案などが提出された場合、3ヶ月以内に選挙で選出
選挙は比例代表方式
集会期間は最長1ヶ月
職権は立法院提出の憲法修正案などの議決とする

歴代の会期

(歴代国大代表の任期と集会に関する情報は、入力データには詳細が含まれていないため、省略します。)

憲法改正

第一回国民大会では、「動員戡乱時期臨時条款」を採択し、憲法に優先する内容として施行しました。台湾移転後、憲法の有効性や国民大会の存在意義が疑問視され、1991年に万年代表が退職し、新たな代表選挙と憲法改正に着手しました。その後、国民大会は1991年から2000年にかけて6回の憲法改正を行いました。

主な改正内容としては以下のようなものがあります。

1991年：両岸分裂の事実を確認し、「動員戡乱時期臨時条款」を廃止
1992年：監察委員の任命を総統指名に変更、司法院などの正副院長に対する同意権を付与
1994年：総統の直接選挙実施を決定、「原住民」の名称を憲法で定める
1997年：台湾省を虚省化、行政院長同意権を凍結、不信任案議決権と総統の国会解散権を新設
1999年：国民大会代表の任期延長を決定するも、後に無効とされた
2000年：立法院の組織を改編、国民大会の機能停止の方向性を決定

任務型国民大会

直接選挙で選ばれた総統の誕生により、国民大会は必要に応じて選出され、職務完了後に解散する「任務型国民大会」へと改編されました。2004年、立法院で憲法修正案が可決され、国民大会で再議決する必要が生じたため、初めての「任務型国民大会代表」選挙が行われました。この修正案には国民大会の機能凍結が含まれており、結果的に最初で最後の任務型国民大会となりました。

2005年6月、任務型国民大会は憲法修正案を可決し、国会改革、国民投票、国民大会凍結の3大議題が決定されました。

国民大会凍結後の憲法

国民大会凍結後の憲法では、以下の点が改められました。

総統弾劾は立法院が提出し、司法院大法官会議が審理
立法委員の定数を113議席に削減し、任期は4年とする。選挙は小選挙区比例代表並立制。
領土変更は国民投票により決定
憲法改正は立法院の提案、議決後、国民投票で過半数の同意を得て成立



国民大会は、中華民国の憲政史上において重要な役割を担っていましたが、憲法改正によりその役割を終えることになりました。その歴史的背景や制度変遷は、台湾の政治発展を理解する上で重要な要素となっています。

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