国民精神文化研究所

国民精神文化研究所の概要

国民精神文化研究所（こくみんせいしんぶんかけんきゅうしょ、英称：National Spiritual Culture Research Institute）は、1932年に設立された日本の官立研究機関です。設置は文部省の直轄であり、当時の社会情勢に対処するため、特に「皇国教学ノ指導者トシテノ信念ト識見トノ醇化」を教育方針としました。この研究所は、当時の学生の左傾化に対抗するため、国民精神や国家の文化を振興し、外来思想や特にマルクシズムから防衛するための理論を構築することを目的としていました。

沿革

国民精神文化研究所は、1932年に設立が決定され、最初は文部省内で運営が始まりました。翌年には東京・品川区上大崎に新庁舎が完成し、移転が行われました。その後、多くの著名な学者がこの研究所に所属し、さまざまな学問分野から国民精神の研究を進めました。1934年には初代所長が関屋龍吉に就任し、以降も様々な教育施策が行われました。

特に1942年には、国民錬成所を設置し、そこでの教育を通じて国民の意識改革を目指しました。この国民錬成所は、国民精神文化研究所と合併し、教学錬成所に改称されましたが、戦後のGHQの方針により解散しました。

1945年の終戦後、国民精神文化研究所は解体され、その後の研究機関である国立教育研究所へと改組されました。

組織と研究分野

研究所内は、複数の学問分野に分かれており、それぞれに専門の研究者が所属していました。主な分野には、歴史学、国文学、芸術学、哲学、教育学、法政学、経済学、自科学、思想論などがありました。特に教育科や法政科の専門家たちは、戦時中の特有な思想教育や法的枠組みにも深く関与し、その研究活動は当時の政策にかなりの影響を与えていました。

また、研究生指導科では左傾学生の再教育を行うなど、積極的な方策を講じました。これにより、思想の統制や教育の重視が行われることとなりました。

歴代所長と主な刊行物

国民精神文化研究所には、歴代で3名の所長が存在しました。初代は粟屋謙、次いで関屋龍吉、最後に伊東延吉が就任しました。 教育内容の伝達手段としては、幾つかの刊行物が発表されました。『国民精神文化』や『戦争文化』といった定期刊行物が刊行され、また『書紀集解』などの重要な資料も整備されました。

結言

国民精神文化研究所は、その存在自体が当時の日本社会の特異な時代背景を反映したものであり、戦中の思想統制や教育改革の中でも重要な役割を担いました。その具体的な活動については、今日でも歴史的観点からさまざまな議論を呼んでいます。

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