関屋龍吉

関屋龍吉の生涯と業績

関屋龍吉（せきや りゅうきち）は、1886年（明治19年）7月2日に岐阜県大垣市で生まれ、1976年（昭和51年）11月5日に没した、大正・昭和戦前期の日本の文部官僚です。文部省社会教育局長を務め、「社会教育育ての親」と評されるほど、日本の社会教育の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと教育

関屋龍吉は、旧藩校教官であった一柳元吉の次男として誕生しました。その後、関屋家の養子となり、東京へ移りました。当初は、父の弟子であった日本鉄道幹部の吉川義幹の養子になる予定でしたが、吉川の急逝により、吉川の妻である与喜子の養子となりました。旧制大垣中学校を卒業後、東京府中学（後の東京府立第一中学校）に進学し、第一高等学校を経て、東京帝国大学法科大学政治科を卒業しました。

文部官僚としてのキャリア

1911年（明治44年）に文官高等試験に合格し、翌年、文部省に入省しました。1914年（大正3年）には文部省督学官兼参事官に就任、1915年（大正4年）には専門学務局実業教育課長に就任しました。実業教育課長時代には、東京高等工業附属補習学校で「国民の心得」という科目を設け、自ら講義を行いました。この科目の教科書『国民の心得』は、日本初の公民科教科書と見なされることがあります。

その後、文部大臣秘書官兼文部省参事官、秘書課長などを歴任し、1923年（大正12年）には欧米の教育制度と青少年教育を視察しました。帰国後の1924年（大正13年）には、当時38歳という異例の若さで普通学務局長に就任しました。

社会教育への貢献

1927年（昭和2年）には再度欧米を視察し、アメリカから贈られた「青い目の人形」に対する答礼人形をアメリカに送り届ける責任者を務めました。帰国後、1928年（昭和3年）には財団法人日本青年協会を設立し、地域の中堅青年育成に尽力しました。この協会では、「真ん中を歩こう」「土台石になろう」をモットーに、青年たちの指導にあたりました。また、ドイツの青年運動やデンマークの国民高等学校の教育制度などを研究し、日本の社会教育に取り入れようとしました。

1929年（昭和4年）には社会教育局長に任命され、1931年（昭和6年）には大日本連合婦人会の結成に関わり、児童の校外指導のために帝国少年団協会の設立にも携わりました。

1934年（昭和9年）には、文部省直轄の研究・研修機関である国民精神文化研究所の初代所長に就任しました。この研究所は設立当初、適任者が不在だったため、関屋の就任は省内対立解消のための人事という見方もされましたが、関屋は7年間所長を務め、研究所の発展に貢献しました。

戦後と晩年

1941年（昭和16年）には財団法人日本女子会館（現在の公益財団法人日本女性学習財団の前身の一つ）の設立にも尽力し、代表に就任しました。1944年（昭和19年）に退官後、第二次世界大戦後は公職追放となりましたが、社会教育への情熱は衰えず、1948年（昭和23年）にはブラジルを視察しました。日本女子社会教育会（旧大日本女子社会教育会）の理事長・顧問を務め、1975年（昭和50年）には会長となりました。1976年（昭和51年）に生涯を閉じました。

家族と親族

関屋龍吉の父は、大垣藩の藩校教官を務めていた一柳元吉であり、実兄には王子製紙の重役を務めた一柳貞吉がいます。妻の美穂子は、博物学者である男爵田中芳男の娘であり、2男2女をもうけました。

その他

学生時代には弓道に打ち込み、のちに生弓会理事を務めました。「青い目の人形」と答礼人形に関する児童向けパンフレット『アメリカへ行った人形のお話』を1930年（昭和5年）に著しましたが、日米開戦後に人形が処分された際には、深く悲しんだと語っています。

岐阜県大垣市には、関屋龍吉の功績を称える「関屋龍吉先生謝恩碑」が建立されています。

関屋龍吉は、その生涯を通じて日本の社会教育の発展に尽力し、青少年教育、国際交流、女性教育など、幅広い分野で多大な貢献をしました。彼の業績は、今日の日本の教育制度にも大きな影響を与えています。

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