国民衛兵

国民衛兵（Garde nationale）

国民衛兵は、フランス革命の際に従来の常備軍の代わりに各都市で組織された民兵集団であり、特に1789年の革命の初期に重要な役割を果たしました。最初に設立されたのはパリで、司令官にはラファイエット侯爵が選ばれました。これに続いてフランス全国の他の都市でも国民衛兵が組織され、中流市民を基盤として法と秩序の維持を担当しました。

創設の背景

1789年のフランス革命前、パリでは経済不況に伴う社会的不安が広がり、騒乱や盗難が頻発していました。国王の無策に失望した市民は自らの手で秩序を保とうと決意し、民兵組織を設立しました。これが国民衛兵の始まりであり、革命の火が点いた瞬間でした。国民衛兵の設立は大衆による自己防衛の象徴であり、7月15日にはラファイエットがその最高司令官に選ばれたことで、組織は急速に広がりました。

組織構成

国民衛兵は、士官が地方の住民によって選挙で選ばれる形態を持っていたため、市民の意見が反映される仕組みが整っていました。1791年から施行された法律によると、一定の資産を持つ市民やその子供は、国民衛兵に加わる義務を背負い、その役割は法の遵守や地域の防衛とされていました。市民は自宅で武器や制服を保管し、出動を命じられた際には迅速に行動できる準備を整えていました。

革命期における役割

国民衛兵は、革命の初期には王政を支える形態を持っていましたが、1792年の夏にはその性格が変化しました。特に、アントワーヌ＝ジョゼフ・サンテールが指導する過激派によって国民衛兵が掌握されると、王制の廃止へと至りました。国民衛兵は革命の進展に応じて重要な役割を果たし、議会の動きにも影響を与えることとなります。しかし、1794年のテルミドールの反動後には王党派の影響を受け、国民衛兵は次第にその力を失っていくことになります。

帝政の時代

ナポレオンは国民衛兵を力強い武装集団と見なさず、より軍隊に近い組織を望んだため、実質的には武装解除が行われました。それでも、1809年と1814年にはフランス国防のために再動員されるなど、国民衛兵の存在は続いていました。これにより、1814年のパリの戦いには2万人以上の国民衛兵が参加するという事態にも至りました。

復古王政と革命の影響

ブルボン復古王政が始まると、ルイ18世は国民衛兵を存続させましたが、シャルル10世による解散命令もありました。さらに、1830年の七月革命をきっかけに国民衛兵は再び武装し、1848年の二月革命では共和主義者側に立って戦いました。ナポレオン3世のもとではその任務は従属的に抑えられましたが、普仏戦争時には再度その重要性が認識され、パリ・コミューンの蜂起にも参加することになりました。

21世紀の復活

2015年のパリ同時多発テロを受けて、国民衛兵は新たに設立されることが決まりました。2016年に正式に再建された国民衛兵は、警察や国家憲兵の補助を行う重要な役割を担っています。今回の再設立は、歴史的な役割を再確認し、新たな時代に応じた組織として期待されています。

国民衛兵は、フランスの歴史において繰り返し重要な役割を果たしてきた組織であり、その存在は常に変化する社会情勢と不可分であることを示しています。

もう一度検索