国道6号一次改築

国道6号一次改築：茨城県の交通網を形成した大規模道路改良

国道6号一次改築は、1948年（昭和23年）から1966年（昭和41年）にかけて、茨城県内の国道6号において実施された大規模な道路改良事業です。この事業は、戦後の復興期における道路輸送の強化を目的とし、内務省時代から計画されていた改良工事を建設省が引き継ぎ、本格的に実施されました。

背景と目的

1941年（昭和16年）に、土浦市真鍋町から日立市滑川町に至る区間の全面改良工事が計画されました。この計画は、戦時体制下における道路輸送能力の向上を目的としていましたが、太平洋戦争の勃発により工事は一時中断されました。終戦後、戦時体制強化の必要性は失われたものの、道路改良の必要性は依然として高く、1946年（昭和21年）8月に工事が再開されました。1947年（昭和22年）の新道路法施行以降は、工事区域が日立市以北の高萩市・北茨城市にも拡大されました。

1948年（昭和23年）に建設省が発足すると、内務省から事業が引き継がれ、未改良区間の改良工事が本格的に開始されました。この改良工事では、市街地や旧宿場町の迂回、自動車交通に適した直線化が重視されました。その結果、以下の区間でバイパスが建設されました。

バイパス建設区間

千代田改築：かすみがうら市下稲吉 - 石岡市石岡 (5.7km)
石岡バイパス（旧）：石岡市国府 - 小美玉市竹原 (5.8km)
堅倉・小幡改築：小美玉市堅倉 - 東茨城郡茨城町小幡 (7.0km)
長岡・小鶴改築：東茨城郡茨城町小鶴 - 東茨城郡茨城町長岡 (3.0km)
石名坂バイパス：日立市大和田町 - 日立市石名坂町 (2.9km)
大甕・神峰改築：日立市大みか町 - 日立市滑川町 (13.2km)
小木津バイパス：日立市滑川町 - 日立市川尻町 (6.6km)
高萩国道改築：高萩市石滝 - 高萩市高戸 (3.8km)
磯原・赤浜改築：高萩市赤浜 - 北茨城市磯原町磯原 (8.3km)
大津道路改築：北茨城市関南町神岡上 - 北茨城市大津町北町 (2.8km)

これらのバイパス建設により、石岡市、高萩市といった主要な市街地のほか、稲吉（かすみがうら市）、竹原・堅倉（小美玉市）、小幡・長岡（東茨城郡茨城町）、大橋・小木津（日立市）、足洗・神岡（北茨城市）といった旧宿場町集落の迂回が可能となり、交通の円滑化と安全性の向上が図られました。

歴史

1949年（昭和24年）：大津道路改築供用（内務省からの引継ぎ）
1951年（昭和26年）3月：高萩国道改築供用（内務省からの引継ぎ）
1952年（昭和27年）4月：長岡・小鶴改築着手
1956年（昭和31年）4月：堅倉・小幡改築着手、長岡・小鶴改築供用
1957年（昭和32年）4月：千代田改築着手
1958年（昭和33年）3月：千代田改築供用、4月：堅倉・小幡改築供用、大甕・神峰改築着手
1959年（昭和34年）4月：石岡バイパス（旧）着手
1961年（昭和36年）4月：石名坂バイパス、小木津バイパス着手、9月：磯原・赤浜改築着手
1962年（昭和37年）4月：石岡バイパス（旧）供用
1963年（昭和38年）4月：大甕・神峰改築供用、5月：小木津バイパス一部暫定供用
1964年（昭和39年）1月：石名坂バイパス供用
1966年（昭和41年）3月：小木津バイパス全区間供用

バイパス化後の旧道

バイパス建設により旧道となった区間は、現在では各市町村や茨城県に移管され、県道や市道の一部として利用されています。

千代田改築：かすみがうら市に移管、県道つくば千代田線の一部
石岡バイパス（旧）：石岡市、小美玉市、茨城県に移管、国道355号、県道石岡城里線の一部
堅倉・小幡改築：小美玉市、東茨城郡茨城町、茨城県に移管、県道上吉影岩間線・県道玉里水戸線の一部
長岡・小鶴改築：東茨城郡茨城町と茨城県に移管、県道大洗友部線・県道内原塩崎線・県道塩ヶ崎茨城線の一部
石名坂バイパス：日立市と茨城県に移管、県道亀作石名坂線の一部
大甕・神峰改築：日立市に移管
小木津バイパス：日立市と茨城県に移管、県道日立いわき線の一部
高萩国道改築：高萩市と茨城県に移管、国道461号と県道高萩停車場線の一部
磯原・赤浜改築：北茨城市に移管
大津道路改築：茨城県に移管、県道里根神岡上線・県道山根大津港線・県道塙大津港線の一部

国道6号一次改築は、茨城県の幹線道路網の基礎を築き、地域社会の発展に大きく貢献した重要な事業です。

関連項目

バイパス道路
日本のバイパス道路一覧
関東地方の道路一覧

外部リンク

常陸河川国道事務所年表（WEBアーカイブ）

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