国鉄ウ300形貨車

国鉄ウ300形貨車とウ500形

概要

国鉄ウ300形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）において使用されていた有蓋貨車の一種で、特に豚の輸送を目的とした「豚積車」です。この形式は1950年に登場し、同時に改良型であるウ500形についても言及します。

ウ300形の特徴

国鉄ウ300形は、1950年度に新小岩工場で50両（ウ300 - ウ349）が製造され、大部分は余剰としていた無蓋車の部品を流用して改造されたものです。製造が行われた新小岩工場は仕事量が多かったため、各地の他の工場にも外注されています。1951年度には追加で50両の製造が行われ、合計100両となりました。

この貨車は、日本初の12トン積み二軸豚積車として知られ、ウ200形（10トン積み）に比べて積載容量は増大しましたが、実際に運べる頭数は40～50頭と大きく変わりませんでした。

車体構造

ウ300形の車体は木板で構成され、側面や妻面には開放窓が設置されており、積荷の逃亡を防ぐために鋼製の桟が組み込まれています。初期には開放的な設計でしたが、後に窓には戸が取り付けられ、側引戸は吊戸設計となりました。荷室は2階建てで、腐食防止のためアスファルトが塗布されており、底面には排水口も設けられています。

荷室の寸法は長さ5,925mm、幅2,320mm、高さ2,180mmで、全長は8,200mm、自重は11.5トンです。最高運転速度は65km/hとなっています。

ウ500形の概要

1957年からは、ウ300形を基にしたウ500形が登場しました。この形式は走行装置が二段リンク方式に変更され、最高速度が75km/hに向上しました。ウ500形は、老朽化したワム1形の改造を通じて製造され、同じくウ300形からも改造車両が含まれています。

製造データ

ウ500形は新津工場や長野工場などで1957年から1970年にかけて製造され、最終的には270両が全国で豚や小家畜の輸送に利用されました。しかし、豚肉の流通形態の変化により生体輸送は減少し、結果的に1974年に全車両が廃止され、豚積車は国鉄の歴史から姿を消しました。

改造関連車両

ウ500形の廃止後、国鉄はこれを用いて新たな形態の貨車であるポム200形陶器車を製作しました。これらは、陶芸品の輸送を目的として改造されたものであり、旧ウ500形となる部品の再利用が大きな目的でした。ヒ500形は、輸送量を高めるために新たに設計された控車で、ウ500形を改造して製造されました。

まとめ

国鉄ウ300形とその改良型ウ500形はともに、日本の鉄道路線における豚の輸送に特化した重要な役割を果たしました。これらの貨車は、生産から廃止に至るまでの過程を通じて、鉄道貨物輸送の変遷に大きな影響を与え続けました。

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