国鉄キハ31形気動車

キハ31形気動車について

キハ31形気動車は、日本国有鉄道（国鉄）および九州旅客鉄道（JR九州）で運行されていた一般形気動車です。この車両に関しては、くま川鉄道に譲渡されたKT31形についても触れます。

製造の背景

1987年の国鉄分割民営化に先立ち、JR九州の経営基盤の強化の一環としてキハ31形が製作されました。軽量化とコスト削減を図るため、デザインや部品には廃車された車両からの部品を多く使用しています。また、バス用の汎用品も活用し、効率的な運行を実現しました。さらに、ワンマン運転に対応した設計で、運転設備の追加が容易となっています。

製作と設計

キハ31形は1986年から1987年にかけて20両が製造され、さらに1988年3月に追加製作も行われました。車両は詳細な構造解析に基づいて設計され、九州特有の急勾配区間での耐久性や運行の効率性を考慮しています。車体は軽量かつ丈夫なステンレス製で、長さは従来の標準車両よりも短い17 mに設定されています。

車体構造と設備

キハ31形の側面は1段上昇式の窓を設け、客用扉は自動または半自動で操作できるように設計されています。運転室は前面展望を考慮した半室構造になっており、乗務員は広い視野を確保しています。各車両には冷房設備としてバス用の冷房装置と補助送風機が取り付けられていますが、冷房能力には限界があります。また、暖房にはエンジンの冷却水を用いた温水式が搭載されています。トイレは設置されていませんが、98人を定員としており、座席は転換クロスシートが採用されています。

エンジンと機器

エンジンには、直噴式の「DMF13S」が使用されており、これをもとに横型設計に改良された「DMF13HS」が1基搭載されています。また、変速機は廃車発生品からの再利用が多く、同様の理由から従来の気動車との併結運転が可能です。台車は、金属バネ台車を使用し、ブレーキ機構は旧型車両に基づいた流用品であるため、高い安定性を持っています。

運用と改造

キハ31形は1987年から営業運転を開始し、ワンマン運転が導入された際には、全車両がワンマン車に改造されました。その後、観光目的での運行も行われ、「いさぶろう・しんぺい」という観光列車には一部車両が簡易お座敷化されて使用されました。その他にも、セミロングシート化改造が行われ、ラッシュ時の収容力を向上させています。

運行エリア

当初、キハ31形は熊本や大分を中心に運行されていました。その後、運用は熊本鉄道事業部や大分鉄道事業部、さらに筑豊地区にも広がりました。特に観光列車としての活用が多く、肥薩線での「いさぶろう・しんぺい」や「九千坊号」など、地域の観光振興にも寄与しました。

新製と譲渡

キハ31形は新製されその後使用されましたが、2004年に1両がくま川鉄道に譲渡され、KT31形として運用されました。彼の地での運行は2013年まで行われ、今後も地域の交通機関としての役割が期待されます。

結論

キハ31形気動車は、その軽量設計や多くの改良点により、九州の地域鉄道で長年にわたり活躍し続けました。その実績と工夫は、今なお鉄道ファンや地域の人々に愛されるものとなっています。

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