国鉄キハ37形気動車

キハ37形気動車の概要

キハ37形気動車は、1983年に日本国有鉄道（国鉄）によって生産されたディーゼル車両であり、製造は5両に及びました。1987年の国鉄分割民営化に伴い、3両が東日本旅客鉄道（JR東日本）に、2両が西日本旅客鉄道（JR西日本）に承継されました。2021年時点では、水島臨海鉄道がJR東日本から譲受した3両を所持しています。

この車両は、先代のキハ40系の問題点を克服するために設計されました。特にキハ40系は、幹線での長距離運行や高速運転に特化したため、ローカル線向けの車両としては装備が過剰であり、新造費が高かったのです。そのため、キハ37形では地方線の特性に合わせて十分な性能を持ちながら、製造・維持コストの低減が求められました。この結果、必要最低限の装備を標準とし、地域に合わせたオプションの追加が可能な設計となっています。

1980年代前半まで、国鉄の気動車は陳腐化したエンジンが使用されており、性能の低下が顕著でした。これに対抗する形で、キハ37形では直噴式ディーゼルエンジンが採用され、出力向上と燃費の改善が図られました。さらに、廃車部品のリサイクルを進めることでコスト削減も実現しています。

量産先行車として製造されたキハ37形には、便所付きの0番台および便所なしの1000番台があり、設計変更を少し加えることで様々なニーズに対応できるようにされています。

車両の構造とデザイン

キハ37形の車体は、基本的にはキハ40系に類似していますが、居住性の向上を考慮して車体の長さと幅が調整されています。これにより、小型化が図られました。また、縦形エンジンの搭載によって床面の高さも上昇し、点検口が復活しました。

客用扉は片側に2ヶ所設けられ、将来的なワンマン運転を考慮した配置がなされています。前面デザインは貫通扉を中央に配置し、視界の妨げを最小限にしています。

最初の塗色は赤11号で、これは急行形気動車と同様のものでしたが、その後地域ごとの配色に変更されました。

主要機器と性能

キハ37形は国鉄の気動車として初めて過給器付き直噴式エンジンを搭載しています。このエンジンは小型軽量でありながら、高出力かつ冷間時の始動性にも優れています。エンジンの設計には、船舶用エンジンの改良版が用いられ、新たな設計によるコスト増加を抑えることにも成功しました。

台車や変速機には在来の部品が流用されており、これもコスト削減に貢献しています。

車内設備と設計

車内は全席ロングシートが採用され、便所付きの車両は138人定員、便所なしの車両は146人定員です。座席はすべてシンプルな設計になっており、客室にはつり革や荷物棚が備え付けられています。

ワンマン運転を想定した設計がされていますが、実際には改造は行われていません。基本的な設備は適度に配置され、居住性に配慮されています。

改造と今後の動向

JR西日本の車両は1994年に冷房化改造が行われ、またJR東日本の車両も1999年から冷房化や機関換装が実施されています。

その後、これらの車両はそれぞれ異なる路線で活躍を続けましたが、最終的には水島臨海鉄道に譲渡され、現在ではその運行に担当されています。

このように、キハ37形は設計や製造コストの見直しを図りつつ、地域ごとのニーズに応える形で進化を遂げた、日本の鉄道の歴史において重要な位置を占める車両です。

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