国鉄キハ90系気動車

キハ90系の概要

キハ90系は、日本国有鉄道（国鉄）が新たに設計した急行形気動車であり、国民の交通を支える重要な存在として知られています。この気動車は、全ての動力車がキハ91形という名称で呼ばれることから、キハ91系とも関連付けられています。

開発の背景

1950年代、日本の鉄道網は戦後の復興に伴い、効率的で力強い輸送手段が求められていました。国鉄では、既存のDMH17系エンジンが標準エンジンとして使用されており、このエンジンは、副燃焼室式機関で構造的にも優秀であったのですが、連続勾配のあるルートでは出力不足が顕著でした。このため、特に御殿場線や関西本線の急勾配での使用が難しかったのです。

国鉄は、その対策として、動力を強化するために仕様を変更し、複数のエンジンを搭載するというアメリカの技術を参考にした設計を行いました。こうして生まれたのが、キハ44600形であり、その後この形式を基にしてさらなる改良が施されたキハ44700形、最終的にキハ44800形へと進化しました。この過程から、乗客へのサービス向上が図られ、特急や準急列車としての運行にも対応できる能力を持った気動車が目指されました。

技術的仕様

キハ90系には、DML30HSA形500 PSエンジンが搭載され、動力性能は向上し、特に大出力エンジンを利用したことで、各種機器をうまく配置できるようになりました。加えて、車体のデザインも改善され、広い客室を実現することができました。これにより、従来の気動車に比べて、乗客の快適性と快適なサービスが実現されたのです。

構造としては、21メートル級の鋼製車体が採用され、外装は急行形電車のスタイルを引き継ぎつつも独自の造形が重視されました。側面の窓は2段式とされ、視認性にも優れています。このようにして、技術面でも見た目にも魅力ある設計が施されています。

運用実績

初期の性能試験は千葉気動車区を拠点に実施され、様々な路線での運行性能がテストされました。試験結果を受けて量産試作車が製造され、96の試験を基に各種改良が施され、その後中央西線や篠ノ井線で実運用が開始されました。特に急行「しなの」として運用され、その後も数多くの緊急運用に対応しましたが、冷却性能や機械的故障で試練を迎えることもありました。

環境に適応しなければならなかったキハ90系は、利用実績が増えるにつれてお客様へのサービス向上も重視され始めました。しかしながら、期間が短い中でも多くの重要な技術的素養を次世代の気動車に残すこととなりました。

技術の続きと影響

キハ90系で得られた経験と技術は、後に従来の気動車の運用や設計に多大な影響を及ぼしました。特に、次世代のキハ181系やキハ65系気動車においても、キハ90系での技術が大きく引き継がれていくことになりました。

このように、キハ90系は国鉄の一部として重要な役目を果たし、多くの技術革新とともにその形を変えながら日本の鉄道輸送の発展に寄与したことが評価されています。

もう一度検索