国鉄キヤ191系気動車

キヤ191系の概要

キヤ191系は、日本国有鉄道によって製造され、その後東日本旅客鉄道（JR東日本）および西日本旅客鉄道（JR西日本）に引き継がれた、架線と信号を検測するための特殊な気動車です。1974年から1976年の間に富士重工業によって、合計3編成6両が製造されました。

車両の特長

この車両が登場した背景には、電化区間や自動信号設置区間が増加してきたことがあります。そのため、検測作業の効率を上げつつ、従来以上の精度で行える車両が求められました。キヤ191系は、非電化区間や架線への電力供給が停止したエリアでも検測ができる気動車として設計されています。これにより、検測作業員の負担軽減と精度向上が図られました。

車体は、当時の183系電車や485系電車に似た高運転台の非貫通構造が採用されていますが、車体の裾部は絞られていない点が特徴です。青15号を基調とした塗装に、警戒色の黄5号が使われており、特に信号検測用の車両であることが一目でわかるデザインになっています。電化区間に対応するため、交流電化区間でも使用可能な特性を持ちます。

搭載されているエンジンは、出力500 PSのDML30HSF型で、これが要求される速度とパフォーマンスを提供します。最高速度は120 km/hで、これはキハ181系と同様の水準です。動力台車にはDT40A型、付随台車にはTR219C型が採用されています。

編成の構成

キヤ191系は、キヤ191形とキヤ190形の2両で編成されます。これらの2両は、相互に切り離すことなくユニットとして運用されます。

• - キヤ191形: こちらは信号検測用で、車内には運転室と機器室、測定室、電源室、トイレが配置されています。また、冷房装置が屋根上に3基設置されています。
• - キヤ190形: 架線検測用の車両で、同様に運転室や測定室を備えていますが、高圧室や冷房装置も設けられています。屋根には検測用のパンタグラフが2基取り付けられており、観測ドームも装備されています。

車両番号はキヤ191/キヤ190-1, 2, 3のように割り当てられ、窓のスタイルはタイプによって異なる場合があります。

運用の歴史

初めに配置されたのは、小郡運転区、秋田運転所、名古屋運転所です。1987年の国鉄分割民営化直前に小郡に再配置された3号車は、その後もJR西日本およびJR東日本に継承され、民営化後の廃車は1988年には1号車から始まりました。特にJR東日本の2号車は2003年にＥ193系の導入により廃車となりました。その後、JR西日本に残った3号車も新たに製造されたキヤ141系に代替され、2008年に廃車が決定しました。そのため、キヤ191系は徐々にその役割を終え、現在では歴史の中に位置付けられる存在となりました。

終わりに

キヤ191系は、架線や信号の検測という特殊なニーズに応えた気動車でした。その高い性能と長い歴史に裏打ちされた設計は、鉄道技術の進化に寄与した重要な存在です。現在、運用を終えたこの車両の記憶は、鉄道ファンや歴史の中で語り継がれていくことでしょう。

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