国鉄ケ10形貨車

国鉄ケ10形貨車の概要

国鉄ケ10形貨車は、1976年から1977年にかけて日本国有鉄道（国鉄）によって製作された特殊な貨車で、使用目的は検重車にあります。この貨車は、老朽化したケ1形の後継として開発されました。ケ10形はコキ5500形から改造した名義で造られましたが、実際は新しく車体が製作されており、流用されたのは連結器と台車のみです。1976年から1977年にかけて、国鉄長野工場で6両（ケ10 - ケ15）が製造されました。これらの車両には「突放禁止」という標記が施されています。

構造と特性

この貨車の台車はTR63F型で、最高速度は75 km/hとなっています。台車のばねが柔らかいことから、分銅を積載した際に車体の揺れが発生するため、ピッチング防止装置が導入されています。ホイストランナーの操作は電動式であり、作業の効率を高めるために両端からホイストを繰り出す設計です。分銅の出入りを行うためには、両方の妻面に扉が設けられており、扉が鎖錠されている状態でも手ブレーキを使うことができるように、手ブレーキハンドルは床下に配置されています。床下にはディーゼル発電機、燃料タンク、蓄電池箱が設置されています。

車内には示度較正用の分銅とそれを載せるための台車があり、天井には分銅を積み下ろすためのクレーンも設置されています。このような特殊な機能により、自重は54トンに達します。

運用の変遷

国鉄ケ10形貨車は、全国各地の国鉄工場に配備されました。具体的には、ケ10が苗穂工場、ケ11が土崎工場、ケ12が大井工場、ケ13が浜松工場、ケ14が鷹取工場、ケ15が小倉工場にそれぞれ配置されていました。これらの車両は、1987年の国鉄分割民営化に伴い、JR各社に引き継がれましたが、貨物輸送の需要が減少する中で次々に廃車となりました。特に、JR東日本のケ11が2001年10月2日に廃車となったことで、この形式は消滅しました。

その後、すべての車両が解体されたと考えられていましたが、その中でケ15は旭化成延岡工場の専用線に残っていました。2023年には現役であることが確認され、保存する会によって譲受され、2024年6月からは福岡で静態保存される予定です。将来的には、展示運転ができるように移設される計画も進行中です。

参考文献

• - 『新版 国鉄客車・貨車ガイドブック』誠文堂新光社
• - 『Rail Magazine』ネコ・パブリッシング
• - 吉岡心平「プロフェッサー吉岡の国鉄貨車教室」

関連項目

• - 日本国有鉄道の検重車
• - 国鉄の車両形式一覧

この形態は、戦後の日本の鉄道貨物輸送の発展において意義深い役割を果たしました。

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