分銅

分銅とは

分銅とは、質量を測定するための基準となる金属の塊です。一般的には円柱形などの形状をしており、用途に応じて様々な種類が存在します。

分銅の主な用途

1. 質量測定の基準: 天秤を用いて物質の質量を測る際に、基準となる質量を示すために使用されます。電子天秤の校正に使用する精密な校正分銅から、上皿天秤に付属する測定用の分銅まで、用途に応じて様々な精度と質量のものが存在します。分銅の質量の基準は、国際キログラム原器に基づいて定められています。

2. 非常用資産: 歴史的には、幕府や有力大名が有事に備えて金塊を小分けにして鋳造し、貯蔵する際にも分銅が用いられました。

3. 武器としての利用: 鎖鎌など、一部の武器と組み合わせて使用されることもありました。

上皿天秤用分銅

理科の実験などで使用される上皿天秤用の分銅は、100ミリグラムから50グラムまでのものが一般的です。上皿天秤の感度は0.1グラム以下であり、より精密な測定が必要な場合には10ミリグラムの分銅も使用されます。

校正用標準分銅

電子天秤は、測定場所の重力の影響を受けやすい重量秤です。地球上の重力加速度は、場所によってわずかに異なり、高緯度になるほど、また高度が高くなるほど小さくなります。そのため、正確な測定を行うには、標準分銅を用いた校正が必要です。

電子天秤には自動校正機能が内蔵されているものもありますが、そうでない場合は手動で校正を行う必要があります。標準分銅は、OIML（国際法定計量機関）の規格（JIS B 7609:2008）に基づいて製造されています。質量は1mgから5000kgまでの30段階、精度はE1級からM3級までの9等級に分類されています。等級が上がるほど精度が高く、例えばF1級の分銅では、10kgで50mg、1kgで5mg、100gで0.5mgといった最大許容誤差が定められています。1kg分銅の等級別の最大許容誤差は以下のようになっています。

E1級：0.5mg
E2級：1.6mg
F1級：5mg
F2級：16mg
M1級：50mg
M2級：160mg
M3級：500mg

日本最古の分銅

2013年、亀井遺跡から出土した輝緑岩などの石11個が、日本最古（約2400年前）の分銅であることが判明しました。これらの石は、重さが小さいものから順に2倍、4倍、8倍、16倍、32倍と規則的に並んでおり、6個1セットで使用されていたと考えられています。もともとは2セットあったと推定されています。

江戸時代の後藤分銅

江戸時代には、銀貨の価値を定めるために天秤が用いられていました。この際に使用された分銅は、青銅製で、不正を防止するために彫金職人である後藤四郎兵衛家のみが製造を許されていました。寛文5年（1665年）の度量衡統一以降、幕末までの200年以上にわたって、尺貫法の質量単位である「両」や「匁」の均質性が保たれました。後藤分銅は蚕の繭をかたどった形状をしており、両替商の看板にも分銅が意匠として用いられていました。現在では銀行の地図記号にもその名残が見られます。

分銅金

幕府は、有事に備えて分銅型の金塊を貯蔵していました。大法馬金（約165kg）と小法馬金（約373g）があり、大法馬金は財政難のために小判に鋳造されて消費されました。小法馬金は尾張徳川家が所蔵していた300個が、日露戦争前に日本銀行に買い取られ、現在は貨幣博物館に所蔵されています。

関連項目

キログラム
分銅鎖
塩野義製薬
亀井遺跡

参考文献

『歴史の中の単位』小泉袈裟勝、総合科学出版

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