手ブレーキ

手ブレーキと側ブレーキ

手ブレーキは鉄道車両に搭載されている、人間が手動で操作するブレーキ装置です。この装置は、運転士がブレーキハンドルを回すことにより、車両を減速させたり停車させたりするために使用されます。手ブレーキだけでなく、足で操作する側ブレーキも同様に人力で制動力を得る重要な装置です。

機構

手ブレーキは、鉄道車両の制動において重要な役割を果たします。一般的には、運転士が運転台に設置されたペダルやレバーを使用してブレーキを操作しますが、手ブレーキや側ブレーキに関しては、直接的に人間の力が制輪子を動かし、制動力を生み出します。これらのブレーキは、ハンドルやペダルからの動力をリンク機構やてこを介して制輪子へ伝達する仕組みになっています。

手ブレーキのハンドルが車両上部に設置されている場合、運転士は車両に乗ったままハンドルを操作し、停車中や走行中の車両に対して制動を行います。一方、ハンドルが車両の側面に設置されている場合は、地上からアクセスして操作する「駐車ブレーキ」として機能します。また、側ブレーキは、特別なステップに乗ってペダルを操作することで機能し、必要に応じて突放入換時にも使用されます。これにより、運転士や係員は安全かつ効果的にブレーキを操作できます。

歴史

手ブレーキは、初期の鉄道において唯一のブレーキ方式として利用されていました。そのため、制動手が緩急車に乗り込み、手動でブレーキを操作していました。しかし、1930年代から機械力によるブレーキが普及し、手ブレーキは予備的な役割を担うようになります。1980年代以降、鉄道の規制が緩和され、貨物車以外の車両では物理的な手ブレーキが装備されることが少なくなりました。

駐車ブレーキ

最近の車両、特にE231系電車に搭載されている駐車ブレーキは、特殊なばねの力を利用して制輪子を作動させる仕組みを採用しています。このブレーキは、通常運転の際には圧縮空気を使ってばねの力が働かないように保たれますが、この圧縮空気を抜くことで駐車ブレーキが作動し、車両の留置時に手歯止めの設置を省略することも可能になります。この部分は「留置ブレーキ」と呼ばれることもあり、鉄道運行の安全性を高める重要な装置と言えます。

手ブレーキと側ブレーキは、鉄道の安全運行に欠かせない要素で、時代の進化に合わせてその機械や仕組みも変化していますが、基本的な役割は変わらずに残っています。

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