国鉄シキ190形貨車

国鉄シキ190形貨車の概要

国鉄シキ190形貨車は、1960年1月22日に日立製作所でわずか1両のみが製造された73トン積みの大型荷物専用車両です。この車両は、当初日本国有鉄道（国鉄）に所属し、1987年の国鉄分割民営化後には日本貨物鉄道（JR貨物）に引き継がれました。

車両の構造

シキ190形の全長は19,860 mmであり、荷物を載せるための落し込み部の寸法は長さ6,800 mm、幅2,250 mmです。この貨車は、合計4台のベッテンドルフ式2軸ボギー台車C-1形を備えており、8軸構造を持っています。その設計は一般的な4台車の大物車と同様で、2台の台車の上に枕枠を渡し、その上に荷受梁を載せる形式ですが、このシキ190形の特異な点は、枕枠が中梁のみで構成されており、両側に広がりを持たないことです。これにより、台車には雨除けのための板が取り付けられています。

荷受梁はガーダー構造で作られており、通常の使用時は第一種縮小車両限界に合わせた設計が施されていますが、電車区間での高いプラットホームに荷受梁が干渉しないように、特殊な輸送時以外は心皿部分に追加の部材を挿入することで200 mm高く調整できる仕組みがありました。この設計の工夫によって、車両の自重が増加し、積載能力が73トンに制限される結果となったものの、2トンの荷重減少が見られました。ブレーキにはKD254形が装備されています。

運行履歴

シキ190形貨車の常備駅は当初、常陸多賀駅で運用されていましたが、貨物駅の集約に伴い1984年2月から1988年1月までの間は日立駅に常備されていました。国鉄分割民営化までは国鉄に属し、その後はJR貨物に車籍が継承されましたが、1990年1月31日に廃車となる運命を辿りました。

この貨車は、特異な設計と運行履歴から、鉄道ファンや歴史愛好者の間でも注目される存在であり、おそらく日本の貨物輸送の歴史において重要な役割を果たしたことでしょう。文献においては、鉄道公報や吉岡心平の著書「大物車のすべて 中」などに詳しい情報が記載されています。また、貨車技術発達史に関する編纂資料も参照されており、技術的な背景や関連資料の理解を深めるための貴重なリソースとなっています。

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