国鉄シキ310形貨車

国鉄シキ310形貨車の概要

国鉄シキ310形貨車は、1961年4月4日に三菱重工業によって製造された唯一の80トン積み低床式大物車です。この貨車は、特に重い荷物や長尺物の輸送に特化した設計が特徴で、輸送業界で重要な役割を果たしました。

仕様と設計

シキ310は全長26,000mm、低床部の長さは5,500mm、レール面上の高さは780mmです。低床式の構造は、貨物の積み降ろしを容易にし、安定した輸送を実現します。荷受梁は枕枠の上側からその外側まで伸びており、長い貨物も安全に運搬できます。

この貨車は、二軸台車を車端側に、三軸台車を車体中央に配置した計4台車10軸で構成されており、バランスの取れた走行性能を持っています。また、ブレーキシステムにはKD254形の空気ブレーキが装備されています。

所有と運用

シキ310は三菱造船の私有貨車として登記されており、1964年の合併により三菱重工業に引き継がれました。常備駅は下祇園駅であり、ここから全国各地への運用が行われました。1975年には日本通運に売却され、状況に応じて沼津駅や西浜信号場への移動を繰り返しました。

廃車とその後

1987年1月12日、シキ310は廃車となり、その役目を終えました。当時の貨車としては比較的短命でありましたが、その特異な設計や構造は確かな印象を残しました。

参考文献

シキ310形貨車に関する詳細な情報は、以下の文献から得られます。

• - 鉄道公報
• - 吉岡心平『大物車のすべて』中（初版）、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 92〉、2007年4月1日。
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編『日本の貨車 -技術発達史-』初版、日本鉄道車輌工業会、2009年4月30日。

関連項目

• - 国鉄の車両形式一覧

シキ310形貨車は長尺物の運搬に特化した設計により、鉄道貨物輸送の歴史においても重要な一部を占めています。その特長は現在でも広く知られ、多くの鉄道ファンや研究者の間で語り継がれています。

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