国鉄スム1形貨車

国鉄スム1形貨車について

国鉄スム1形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）およびその前身である鉄道省のもとで運用されていた15トン積の鉄製有蓋車です。この貨車は、1926年から1928年の間に3,971両が製造されており、その後私鉄から22両が編入され、総数は3,993両になります。製造は複数の工場で行われ、最終的に「スム」という形式名に改称されました。

製造の経緯とデザイン

スム1形貨車は、初めて鉄製の有蓋車として登場しました。製造当初、ワテ45000形として完成し、1928年に「スム」として再命名されます。車体の設計は、従来の木製の貨車を基にし、側板を鉄板に変更した形式です。しかし、内張りがない構造のため、断熱性に欠け、積荷の変質や濡損といった問題も発生しやすかったため、後の製造では改善が図られました。

技術的な仕様

この貨車の全長は7,830mm、全幅は2,420mm、全高は3,633mmで、荷室の内寸は長さ7,025mm、幅2,365mm、高さ2,325mmとなっています。また、床面積は16.6m²、容積は38.6m³という大きなスペースを持ちながら、自重は9tです。最高速度は65km/hで設定されています。特筆すべきは、国鉄の有蓋車として始めて自動連結器が採用されたことで、これにより連結作業が大幅に簡素化されました。

使用とその後

スム1形貨車は全国で広く使用されていましたが、1965年からは老朽化が進み、次第に廃車が進展しました。特に1968年には、ダイヤ改正に伴う高速化改造対象外となり、最終的には1971年までに廃車が完了しました。なお、1940年代に陸軍の要請により200両が中国へ送られたが、その後の運命は不明とされています。

編入車両と改造

22両の私鉄買収車が編入された経緯があります。具体的には、富士身延鉄道や鶴見臨港鉄道からの編入が含まれ、これによりスム1形の数が増えています。また、1945年には一部の車両が無蓋車に改造されましたが、これらはすぐに形式消滅となっています。

類似車両とその発展

国鉄スム1形貨車は、その後私鉄による多くの類似車両の製造に影響を与えました。特に秩父鉄道では近代的な設計変更を施した多くの鉄側有蓋車が製造され、長年にわたり使用され続けました。また、長野電鉄や西武鉄道でもスム1形に類似した貨車が製造され、一定の需要が見られました。

まとめ

国鉄スム1形貨車は、鉄道の貨物輸送の歴史において重要な役割を果たした形式です。製造から廃車までの過程、技術的な進化、そして他の鉄道会社への影響を通じて、この貨車の存在は日本の鉄道貨物輸送における重要な一歩であり続けました。

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