国鉄タキ20000形貨車

国鉄タキ20000形貨車の概要

国鉄タキ20000形貨車は、1964年から1968年にかけて製作された35トン積みの専用タンク車で、主に石油類を運ぶために設計されています。この車両は日本国有鉄道（国鉄）の管理下で運用され、後に日本貨物鉄道（JR貨物）に引き継がれました。タキ20000形は、落成当初から昭和石油とモービル石油の2社が所有していたことが特徴です。製造は主に汽車製造、川崎車輛、富士重工業にて行われました。

製造と所有の歴史

タキ20000形は、全9ロットの33両（タキ20000 - タキ20032）が製作されています。昭和石油とモービル石油が所有するタンク車は、その後の名義変更を経て多くの会社に引き継がれました。1977年には内外輸送や日本陸運産業、1978年にはカロナイト化学、1984年には日本石油輸送に名義が変更されています。これによって、タキ20000形は複数の会社で使用されることとなりました。

車両の設計

タキ20000形の設計には特別な特徴があり、荷物として高粘度のC重油を運ぶための仕様となっています。これには蒸気加熱管が装備され、保温のための断熱材と外板を持つドーム付きの構造が採用されています。荷役方式は、マンホールからの上入れと吐出管からの下出し式が用いられ、効率的な荷物の出し入れが可能となっています。

仕様

この貨車の基本的なスペックは以下の通りです。全長は12,800 mm、全幅は2,710 mm、全高は3,885 mmと、一定の大きさを確保しています。自重は17.7トンから18.0トンの範囲で、最高運転速度は75 km/hです。台車にはTR41Cが使用され、12トンの車軸が搭載されています。塗色は標準的な黒が採用されています。

国鉄分割民営化とその後

1987年4月の国鉄分割民営化において、タキ20000形のうち12両がJR貨物に引き継がれました。1995年度末時点で残っていたのはタキ20016、タキ20024、タキ20025の3両ですが、2001年に最後のタキ20016が廃車されたことで、この形式は消滅しました。

年度別製造数と所有者

タキ20000形は製造当初から昭和39年度から昭和43年度にかけて徐々に増産されています。特に昭和39年度には7両が製造され、昭和40年度にはさらに9両が追加されました。以下に年度別の製造両数と所有者を示します：

• - 昭和39年度: 7両 (汽車製造2両、川崎車輛2両、モービル石油3両)
• - 昭和40年度: 9両 (富士重工業6両、汽車製造3両)
• - 昭和41年度: 2両 (汽車製造2両)
• - 昭和42年度: 9両 (川崎車輛5両、汽車製造4両)
• - 昭和43年度: 6両 (川崎車輛6両)

参考文献

詳細な情報については、『鉄道公報』や吉岡心平著の『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑』、日本鉄道車輌工業会編著の『日本の貨車-技術発達史-』などをご参照ください。これらの文献は、タキ20000形貨車に関する貴重な資料です。

このように、タキ20000形貨車は日本の輸送業界において重要な役割を果たし、数十年にわたり多様な所有者に利用されてきました。

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