国鉄チサ1600形貨車

国鉄チサ1600形とチ500形の詳細

国鉄チサ1600形貨車は、1946年から1948年にかけて改造されて製作された日本の国有鉄道の20トン積貨車です。この貨車は、第二次世界大戦後に駐留軍による大量の自動車輸送が必要となったため、戦時中に設計されたトキ900形をベースにした改造によって登場しました。

チサ1600形の特徴

チサ1600形は、全体で400両が製造され、各種工場で改造されました。車両の改造にあたっては、既存の妻板やあおり戸を取り除き、新しい床板を設け、側面には8本の柵柱を設置するなどの変更が加えられました。ただし、台枠やブレーキシステムなどの下部構造は、元のトキ900形からそのまま流用されています。そのため、チサ1600形もトキ900形同様に三軸貨車の特徴を持っています。

チサ1600形の番号はチサ1600からチサ2203まで存在しましたが、一部に欠番もありました。長物車としての利用が多く、同型の三軸貨車には、チ500形やチム1形、チサ100形などがあり、これらの形式数は多様です。

1968年10月1日、ダイヤ改正によりチサ1600形は北海道内の限定運用車に指定されました。この際、車体の側面には黄色の帯が追加され、「道外禁止」の標記も施されました。しかし、その後の運用状況によっては廃車にされる車両もあり、1971年には在籍車が3両にまで減少し、1983年には完全に形式消滅しました。

譲渡の経緯

1961年には、チサ1600形のうち3両（チサ1724、チサ1605、チサ1722）が北海道拓殖鉄道に譲渡され、チサ1形という新たな形式に編入されました。これにより、南部での運用が開始されることとなります。

チ500形の登場

チ500形もまた、トキ900形を改造した貨車ですが、こちらは10トン積みの長物車です。チ500形は遊車運用を主目的として1952年から1956年にかけて改造された361両が製造されました。その番号はチ500からチ850、チ866からチ875までですが、一部に欠番があります。

この形式も、改造時に妻板やあおり戸を撤去し、下部構造はそのまま流用されていて、荷摺木や柵柱が一切ないフラットな床面を持っています。1968年のダイヤ改正時には同様に北海道内の限定運用に指定され、この際にも車両側面に黄色の帯が追加されました。

チ500形の末期には、事業用車として使われることもありましたが、形式としては1987年に消滅しました。

まとめ

国鉄チサ1600形とチ500形の登場は、戦後の日本における貨物輸送のニーズに応える重要な一手でした。異なる目的で設計されたこれらの車両は、長物車という特性を持ちながら、それぞれの時代の要請に対応して運用されました。鉄道の形態が変わる中で、これらの貨車が果たした役割は、今もなお歴史の中で評価され続けています。

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