国鉄デハ6280形電車

デハ6280形とデハニ6460形

デハ6280形は、日本国有鉄道の前身である鉄道院及び鉄道省において製造された直流電車です。また、同じ系統の車体を有するデハニ6460形についても併せて紹介します。

デハ6280形の概要

デハ6280形は1911年から1912年にかけて、鉄道院の新橋工場で製造された木製の両運転台式三等制御電動車です。もともとはホデ6110形（6129 - 6132）として知られており、1913年の形式称号改正に伴い記号が「ナデ」に変更され、その後1914年にデハ6280形（6280 - 6283）に改称されました。

この電車は全長16メートルの木製車体を持ち、両端に出入り口を設けており、設計には折戸が用いられていました。また中心部にも引戸式の客用扉があり、客室が直接接続されていました。デハ6280形はデハ6260形を継承する形で設計されており、屋根はモニター屋根で構成され、その両側には水雷形通風器が4つ装備されています。

台車は、デハ6260形に似た欧州型で、1912年度製の3両は釣合梁式の明治43年型を使用しています。制御装置は間接式で、電動機はシーメンス製で70PSの性能を持っていました。集電装置は、トロリーポールを前後に2本装備し、安定した集電を実現していました。

標準化改造

デハ6280形には、後年標準型に合わせた改造が行われ、1919年から1921年にかけて実施されました。この改造によって、車両の妻面は平妻形に変更され、出入り口の折戸は引戸に改められました。また、台車も標準形に変更されることで、操縦性と安全性も向上しました。

火災による廃车

1916年11月、新宿電車庫で発生した火災により、同庫に配属されていた電車20両が焼失しました。デハ6280形の中では6280号が被災し、同年内に廃車されました。他のコンポーネントは貴重品として再利用されました。

譲渡とその後

残る3両は、1926年に中央線および山手線の昇圧に伴い、駿豆鉄道に譲渡されました。譲渡後、6281号と6282号は別の番号に振り替えられ、それぞれモハ21（クハ21）、モハ22（クハ22）、モハ23（クハ23）として運行されることとなりました。

デハニ6460形の概要

デハニ6460形は、1912年度に製造された木製両運転台式の三等荷物合造制御電動車です。元々はホニデ6460形と呼ばれ、後にデハニへ改称されました。この形式もデハ6280形と基本的な設計は同様ですが、荷物室が前方に設けられ、広大な空間を形成していました。

標準化改造と使用停止

1920年から1921年にかけて標準化改造が施され、荷物室は縮小される一方、客室への利便性も向上しました。しかし、標準化改造後、中央線と山手線の昇圧に伴い、利用が停止されました。6462号は1925年に、他の2両は同年の9月に使用を終了しました。

廃車と影響

使用停止後、6460号と6461号は1926年に荷物室が客室に改装され、他の形式へ改称されました。その後も1910年代から1940年代にかけて、戦争の影響を受けたり改造されたりしながら、最終的には廃車されました。

結論

デハ6280形およびデハニ6460形は日本の鉄道史において重要な位置を占める電車であり、その特性や歴史的背景は、当時の技術と移動方法の進化を示しています。これらの電車は、その後の電車設計にも影響を与えたと言えるでしょう。

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