国鉄デハ6300形電車

国鉄デハ6300形について

国鉄デハ6300形（こくてつデハ6300がた）は、日本国有鉄道の前身にあたる鉄道院や鉄道省に所属していた木造の直流用電車です。今回、これに関連するデハニ6465形やクハ6400形、およびそれらの改造車両についても触れます。

概要

デハ6300形は、1913年に山手線と中央線の運行を目的に設計されました。この車両は、標準型系列への過渡期のものと位置づけられており、具体的には6300から6305の6両が製造されました。また、デハニ6465形は6465から6468の4両、クハ6400形は6400、6401の2両が作られています。落成時には新形式称号に変更があったため、デハ6300形はナデ6145形、デハニ6465形はナニデ6465形、クハ6400形の一部はナトデ6400形に改称されました。これらの製造は、従来の鉄道院新橋工場から民間の日本車輌製造に移行しました。

車体は、片側に3つの扉を備え、前後に開き戸が設けられています。デハ6300形の窓配置は、側面に沿って交互に配置されており、妻面は完全な平面形状をしています。屋根はモニター型であり、水雷型通風器が片側に4つ取り付けられています。古い電装品は過去の電車から再利用されており、台車も明治43年の標準型から交換されています。

クハ6400形は、デハ6300形の車体を持つ制御付随車ですが、当時の輸送量に合わせて設計されていました。しかし、第一次世界大戦の影響で電装品の輸入が困難になったため、制御付きのボギー車として製造されました。またデハニ6465形は普通三等と荷物の合造車で、車内の約三分の一を荷物室として使用していました。荷物室には両開き式の引戸がありましたが、客用の扉は一か所のみであり、乗降には不便がありました。

新宿電車庫火災

1916年11月24日、新宿電車庫で発生した火災により当初配属されていた電車20両が焼失しました。本系列ではデハ6300形の2両（6300，6302）が廃車となりました。焼け残った電装品は、後にデハ6380形の新製時に再利用されました。

標準化改造

1920年3月から5月にかけて、本系列の全車に標準化改造が実施されました。この改造により、デハ6300形およびクハ6400形では両端の折戸を引戸に改装し、デハニ6465形には新たに客用扉が追加されました。これにより、デハニ6465形の側面窓の配置も変わりました。

使用の停止と変更

全ての車両は中央線と山手線で使用されましたが、1925年に両線の昇圧により運行が停止。1927年には電装解除の後、全室三等のサハ6410形に編入されました。中でもデハニ6465は、電動車としては唯一、1927年以降も残存していました。

1928年には車両称号規程の改正が行われ、デハ6300形とクハ6400形は制御電圧600Vのサハ6形に、デハニ6465形は制御電圧100Vのサハ19形として改称されました。また、電装解除されずに残ったサハ6形4両は1931年に廃車され、サハ19形は戦争中も使用が続きました。

終わりに

デハ6300形は日本の鉄道史において重要な役割を果たした木造電車であり、その特徴的なデザインや多様な改造、使用の歴史を通じて、当時の鉄道運営の状況を知る手がかりとなります。車両の廃車や譲渡の経過も多くの鉄道専門家に研究され、国鉄の発展に寄与してきました。

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