国鉄トム19000形貨車

国鉄トム19000形貨車

国鉄トム19000形貨車は、かつて日本国有鉄道（国鉄）で使用されていた無蓋貨車であり、その製造は1938年から1940年にかけて行われました。この貨車は、主に15トンを積載するために設計され、国鉄初の鋼製無蓋車ト20000形の後継として誕生しました。

製造の背景

1920年代後半の日本では、世界恐慌による経済不況の影響で貨車の設計が見直され、小型化が進みました。十トン積みの有蓋車・無蓋車が主流となる中、1930年代には景気の回復や日中戦争の影響で、大型の15トン積み貨車への需要が再び高まりました。こうした流れを受け、1938年にトム19000形の製造が始まり、最終的には3,971両が新潟鐵工所や他の工場で生産されました。その中には、戦時中の買収により追加された車両も含まれています。

構造

トム19000形は、15トン積み無蓋車として側面全体にあおり戸を設ける構造を持っており、内法幅は2,480 mm、床面積は18.0 m²に達しました。車両の全長は8,056 mm、全幅は2,740 mmで、自重は8.5から8.8tの範囲でした。下回りについては、ズレを防ぐために一段リンク式の軸ばね受けが使用され、最高運転速度は65 km/hでした。また、この形式はあおり戸の形態によっていくつかのバリエーションに分類され、中期・後期形では補強部分のデザインが異なります。

戦後の木製化と改称

戦後の1948年度末時点で、トム19000形の在籍両数は3,917両でしたが、その後の車両整備において、鋼製から木製への改造が進められました。この改造によりトム39000形に改称され、自重と容積が若干変化しました。1950年度には形式消滅が決定され、トム39000形として再スタートを切りました。この改造が行われたのは、戦時中に過酷な使用が原因で車両が傷んでいたためであり、補強工事も行われていました。

廃車と譲渡

トム19000形は、その後も汎用無蓋車として利用されましたが、1958年度から本格的な廃車が進行しました。1968年には全車が速度制限がかけられ、運用エリアが制限されました。この年の終わり時点で171両が残っていましたが、1970年度にはすべて形式消滅とされました。また、トム19000形から一部が他の貨車型式への改造にも利用されました。譲渡に関しては、1950年や1962年にそれぞれの鉄道会社にトム19000形の車両が譲渡され、新しい形式名で運用されることになりました。

同形車の存在

北海道の胆振縦貫鉄道では、トム13形やトム20形が国鉄トム19000形と同じ設計思想で製造されましたが、空気ブレーキの有無で異なる仕様となっていました。これらの車両は、1944年に国有化され、国鉄貨車となりました。

結論

国鉄トム19000形貨車は、鉄道の輸送手段として重要な役割を果たし、長年にわたり多くの現場で活躍しました。その設計や改造の歴史を通じて、当時の日本の鉄道技術の進化を物語る存在となっています。

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