国鉄トム4500形貨車
国鉄トム4500形貨車について
国鉄トム4500形貨車は、戦後に日本国有鉄道（国鉄）で運用された無蓋貨車であり、特異な設計と特徴を持っています。この貨車は、1944年に川崎車輛によって台湾向けに製造されたが、終戦に伴い本土に留まったもので、最終的に1946年に国鉄に導入されました。トム4500からトム4549までの番号が付与された50両があり、これらは15トンの荷物を運ぶ能力を有しました。
国鉄トム4500形は、その形式番号からも分かる通り、短軸式の貨車です。このため、長軸形式のトム5000形よりも前に位置付けられています。本形式は、台湾向け貨車の設計方式と戦時設計による構造を組み合わせた特異性を持ち、興味深い存在です。
特徴
台湾向け貨車に見られる特徴としては、まず車軸が短軸であり、これが貨車の台枠構造に影響を与えています。また、物流の効率性から、自動連結器の高さは本土向けよりも高く設定されており、900 mmという値が示されています。自動連結器は下作用式であり、緩衝装置には輪ばね式のバッファーが用いられています。この構造のため、台枠の設計には特有の工夫が施されており、長土台受けには山型鋼を活用して強度を確保しています。
また、戦時設計の影響で、部品の多くがプレス加工ではなく形鋼の構造を基にしている点も特徴です。このため、台枠が一般的な貨車とは異なる構造をしており、長年にわたりその独特のデザインを維持しました。
増積方式に関しては、トラ20000形と同様に5枚のあおり戸を持っていますが、その高さは同形式よりも低く、推測に過ぎませんがおそらく920 mm程度と考えられています。これにより、トム50000形（850 mm）とトラ20000形（975 mm）の中間的な存在となっています。
加えて、車体の寸法はトム50000形の設計を基にし、全長は8,056 mm、全幅は2,740 mm、従重は8.0 tという詳細があります。下回りの設計は、4,000 mmの軸距に基づき、一段リンク式の軸ばね受けを採用し、最高運転速度は65 km/hとして設定されています。
運用の変遷
トム4500形は汎用無蓋貨車として全国で使用され続けましたが、1968年の国鉄ダイヤ改正によって、新たな高速化の対象から外されることとなりました。この改正以降、すべての車両は「ロ」車として識別され、黄金帯を巻いて北海道地域に閉じ込められる運用が行われました。そんな中、1968年度の年度末にはわずか3両が残っていましたが、1970年度に形式消滅となりました。
改造事例
1961年には、この形式を含む複数の貨車が青函連絡船の石炭積込用に改造され、ヤ10形として新たに形式登録されました。これにより、函館及び五稜郭に配置されて運用されることとなりました。初期には石炭焚きの連絡船で使用されていましたが、後にディーゼル化が進んだため、次第に数量が減少し、最後に残った車両は1970年に廃車され、ヤ10形も形式消滅を迎えることになりました。
参考文献
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