国鉄トラ20000形貨車

国鉄トラ20000形貨車についての詳細

国鉄トラ20000形貨車は、日本国有鉄道にかつて在籍していた無蓋貨車の一形式です。1943年に製造されたこの貨車は、17トンの積載能力を持ち、全300両が新製されたことが特徴です。特に、太平洋戦争中の輸送力増強を目的に、他形式から15トン積み貨車を改造して本形式に組み入れる作業が行われ、結果として約6,000両を追加することができました。

1. 概要と設計

この貨車は、戦時中の資材節約と輸送効率向上を図るために設計されました。その長さは、15トン積みのトム形貨車と同様に設計され、最小限の材料で妻板やあおり戸を上方に延長することにより、17トンの積載が可能となりました。トラ20000形のあおり戸は、トム50000形に比べて高く設定され、地面との接触を避けるために蝶番の設置位置も工夫されています。

内法のサイズは、長さ7,200mm、幅2,500mm、高さ965mmと設計され、荷台の総床面積は18.0㎡、容積は41.4㎥となっています。車体は木製で、あおり戸は片側に2枚設けられており、中央の側柱は取り外し可能です。

2. 改造に関する詳細

1943年から1945年に掛けて、多くの貨車が改造され、トム11000形やトム50000形からの編入も行われました。改造車は大きく分けて、本格改造車と簡易改造車に分類されます。

• - 本格改造車：新製車と同等の性能にするために、蝶番の位置を変更したり、あおり戸に板を追加して強度を高める手法が取られ、多くの車両が1949年に整理されました。
• - 簡易改造車：簡単な改造方法を採用し、元の構造に折りたたみ式の側板を追加することで積載能力を向上させましたが、戦後に原形に復元されることとなりました。

3. 形式の変遷と消滅

戦後もトラ20000形は数度の改番を経て形態を変化させました。1956年に大規模な更新修繕が行われ、トム25000形カードと改称されるなど、様々な事情を経て、1970年には形式消滅となりました。

トラ23000形として238両が存在したものの、1960年代には大幅に減少し、1970年にに完全に消滅しました。

4. 譲渡と他形式との関係

トラ20000形の中には他の鉄道会社に譲渡されたものもあり、高松琴平電気鉄道や三井芦別鉄道に譲渡された例があります。特に高松琴平電気鉄道へは、1両が1956年に使用され、長い間活躍した後に廃車となりました。

5. まとめ

国鉄トラ20000形貨車は、戦時中の日本の物流を支える重要な役割を果たした車両です。その設計や改良の経緯、さらには生まれ変わりや譲渡歴は、当時の鉄道貨物輸送の変遷を物語っています。技術の進化と時代背景を反映した製品として、鉄道ファンや研究者にとっても重要な対象となっています。

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