国鉄トラ35000形貨車

国鉄トラ35000形貨車の概要

国鉄トラ35000形貨車は、1956年度から1959年度にかけて日本国有鉄道（国鉄）で製造された無蓋貨車です。これは17/15トン積みの二軸無蓋車であり、全体で2,658両が製造されました。その内訳としては、1956年度に915両、1957年度に1,595両、そして1959年度に158両が作られました。この貨車は、同時期に製造された長トラ系のトラ30000形や、貨物の有蓋車としても使用できるトラ25000形と共に、国鉄の重要な貨物輸送手段として機能しました。

設計と製造特徴

国鉄トラ35000形の設計は、以前の形式であるトラ20000形と比較して、長さを短縮しつつ容量を増やすことを目的としていました。この形式は通称「コトラ」とも呼ばれ、特にバラ積み貨物（砕石や石炭など）を運ぶのに適しています。台枠の側梁は従来のスタイルを踏襲しつつ、車体の内側に位置しており、ばね吊り受けを備える構造になっています。基本設計は小型版のトム60000形と共通しています。

車体材には木材が使用されており、妻板、あおり戸、床面が木製で、妻板の高さは1,265 mm、あおり戸の高さは965 mmです。主要な寸法は全長8,100 mm、車体長7,300 mm、全幅2,740 mm、床面積18.0 m²、容積41.4 m³、自重は8.9 tです。走行装置は二段リンク式で設計されており、最高運転速度は75 km/hに達します。

運用と変遷

トラ35000形は無蓋車として日本全国で活躍しましたが、1966年から1971年にかけて木材チップ用の貨車トラ90000形に大規模な改造が行われました。この時期に改造された数は全体の84%に当たる2,239両にも及びました。改造された車両の中には、トラ90000形不足を補うために、形式変更をせずに金網の柵を取り付けた車両も存在しました。

その後、トラ35000形は国鉄工場の配給車としての役割を担うようになり、特に小倉工場でのトラ36836は、バリエーションに富んだ特徴を持ち、ファンに人気がありました。

しかし、1973年度から本格的な廃車が進み、1985年度にはすべての形式が消滅となりました。

同形車と派生形式

トラ35000形には同形車も存在しました。三岐鉄道が製造したトラ500形は、国鉄トラ35000形の設計に基づいており、黒部ダム建設用のセメント輸送のために特別に製造された無蓋車です。トラ90形は、1969年に改造された有蓋車兼用無蓋車でしたが、その運用は限定的で、早期に廃車となりました。

国鉄トラ35000形貨車の設計、運用、改造、及び派生形式は、戦後日本の鉄道貨物輸送の歴史において非常に重要な部分を占めており、以来、多くの鉄道ファンに親しまれてきました。

もう一度検索