国鉄ヒ600形貨車

国鉄ヒ600形とヒ500形貨車

国鉄ヒ600形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）が1954年から1981年まで製造した事業用の貨車であり、主に構内入換や航送車両の支援に用いられました。この車両は253両が製作され、さまざまな種車を基に改造されており、最高速度は65 km/hに設定されています。

ヒ600形の概要

ヒ600形は、トム16000形やワ12000形など多種の貨車を改造したものです。製造期間中に改造を受け、上回りを取り外し、その代わりに手摺と小屋が設けられました。ただし、積み下ろし作業に特化した車両の中には小屋がないものもありました。走行装置の形式は、このように改造された車両によって異なり、シュー式やリンク式の走行機構が導入されました。

1968年のダイヤ改正に合わせて、ヒ600形は高速化不適格とされ、のちに「ロ」を付け加えた「ロヒ」という記号が与えられました。これにより識別され、黄色の識別帯が巻かれ、他車両との違いが明確になったのでした。国鉄分割民営化の影響により、北海道旅客鉄道（JR北海道）や四国旅客鉄道（JR四国）などに58両が譲渡されましたが、時代の変化とともに使用される機会が減少し、2002年には形式が消滅しました。現在では、特定の車両（ロヒ852）が構内の入れ替え用に使用されていますが、この車両は公式に登録されていません。

ヒ500形の位置付け

ヒ500形は、1954年に製作を開始し、1971年までに87両が製造された控車であり、航送車両の積み下ろし作業に用いられました。トム16000形やウ500形をベースにしたもので、こちらも上回りの撤去と手摺の設置がなされました。

最高速度はヒ600形と同じく65 km/hで、1968年のダイヤ改正で高速化不適格車となり「ロヒ」と識別されました。1987年の国鉄分割民営化の際には3両がJR北海道に引き継がれましたが、青函連絡船の運行停止に伴い、1988年度に全車両が廃止されました。

保存された希少な車両

現在のところ、ヒ600形の一部は「青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」の車両甲板で保存展示されています。具体的には、ロヒ760、ロヒ833、ロヒ834、ロヒ835の4両が保存状態の良い形で一般に公開されており、多くの見学者が訪れます。また、隣接の岸壁にはロヒ759も展示されていましたが、経年劣化が進み、2021年には撤去されています。これらの保存車両は、かつての国鉄の歴史を物語る貴重な存在となっています。

まとめ

国鉄ヒ600形とヒ500形貨車は、日本の鉄道貨物運送の舞台裏を支えていた重要な車両です。それぞれの形態や歴史の中で、特有の役割を果たしてきたことが分かります。このような歴史的な車両の保存活動は、鉄道の文化を次世代に伝えるための重要な取り組みなのです。

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