手摺

手摺：安全と利便性を支える建築・交通要素

手摺（てすり）は、橋、階段、屋上、ベランダ、壁面、窓、廊下など、人の転落や転倒の危険性を伴う場所に設置され、安全を確保し、行動を補助する柵状または横木状の設備です。建築物に広く用いられるほか、電車や船舶、さらにはベッドなどの家具にも見られます。ただし、椅子の肘掛けなどは、通常手摺とは呼ばれません。

古くから、欄干（らんかん）、高欄（こうらん）、おばしまなどとも呼ばれ、一般には「手すり」と表記されることが多いです。狭義では、柵の上部に渡された手でつかむ横木（笠木）を指しますが、柵状のもの（手すり子）も含めて全体を指す場合もあります。材質も木材、竹、金属、石材など多岐に渡ります。

手摺の種類と用途

手摺は設置方向によって、水平手すり、斜め手すり、縦手すりに分類されます。また、使用目的から補助手すり、墜落防止手すり柵、安全手すりに分けられます。

補助手すり: トイレや浴室など、手で掴んで行動を補助するために設置されます。
墜落防止手すり柵: 屋上、バルコニー、エスカレーターなどからの落下防止を目的とし、膝から胸の高さ程度に設置される柵状の手摺です。階段の手摺は、補助手すり、墜落防止手すり柵の両方の機能を兼ねることが多いです。
* 安全手すり: バスや電車の急停車時の転倒防止に設置される手摺です。

材質は、木製、鉄製、アルミ製、ステンレス製、ポリプロピレン製、塩ビ製など多様で、近年では抗菌仕様のものも普及しています。さらに、縦方向と水平方向の手摺を一体にした格子状手摺、照明機能や呼び出し機能付きの手摺（補助手すり用）、滑り止め加工や点字プレートを備えた手摺なども開発されています。

建築分野における手摺

建築分野では、水平手摺は歩行補助、斜め手摺は階段の昇降補助、縦手摺は便座からの立ち上がりなど、体重移動の補助に用いられます。

日本の建築基準法では、階段、踊り場、2階以上のバルコニー、屋上などに、高さ1.1m以上の手摺設置が義務付けられています（ただし、高さ基準を満たしていても、途中に足掛かりがあると転落の危険性があるので注意が必要です）。また、手すり子の間隔が広いと乳幼児の転落事故につながるため、内寸110mm以下とするのが一般的です。

交通分野における手摺

交通機関では、車内で立った姿勢を維持したり、座席から立ったり座ったり、車内を移動する際の補助として手摺が設置されます。特に座席前に設置される縦型の手摺は、スタンションポールと呼ばれています。

まとめ

手摺は、安全性と利便性を高めるために不可欠な設備です。その種類、材質、設置場所、目的は多岐に渡り、建築基準法などの規制も存在します。今後も、より安全で使いやすい手摺の開発が期待されます。

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