国鉄ヨ5000形貨車

国鉄ヨ5000形貨車について

国鉄ヨ5000形貨車は、1959年から1968年にかけて日本国有鉄道（国鉄）で製造または改造された事業用貨車です。主に車掌車として利用され、高速貨物列車の運行に寄与しました。特に、この貨車の特徴は、従来の車掌車が75km/hにしか対応できなかった時代に、85km/hでの運転が可能となるよう改造されたことです。これは、1959年に汐留駅と梅田駅間で運行される高速貨物列車の需要に応えるものとして重要でした。

概要と歴史

本形式はヨ3500形の軸箱支持装置を二段リンク化することで速度向上が図られており、基本的な車体のデザインはヨ3500形とほぼ同じです。それゆえ、特徴的なリベットの外観やカンバス張りの屋根は残っていました。初期の改造車としての新製車も数多く存在し、これらの車両は全国各地で使用されましたが、1986年に貨物列車の車掌乗務が原則廃止されたため、その多くは廃車となりました。

乗務員が後継のヨ6000形に比べて居住性の良さを感じていたことも印象的です。特に、長椅子のサイズや車体の構造が影響し、居住性に優れていたとの意見が寄せられたのです。通称「ヨゴレ」や「ヨゴマル」とも呼ばれることもあり、親しみを持たれていました。

車両構造

ヨ5000形は、外観にはリベットが多く残るものの、全溶接構造の新製車もあり、これによりリベットの存在は無くなり、より近代的な印象を与えるようになりました。室内装備としては、三人分の執務机や椅子、長椅子、ストーブといった基本的な構造を保っていました。

区分と派生形式

国鉄ヨ5000形は大きく三つのタイプに区分されます。最初の5000番台は、1959年に東海道本線向けに改造された初期のもので、続く5050番台は1962年に新造され、リベットのない車体を持っています。最後に13500番台は、1967年以降に改造されたもので、外観はヨ3500形とほぼ変わりません。

特に興味深いのは5800番台で、これは1970年代に北九州地区向けに低屋根化改造されたもので、石炭列車に用いられました。これにより、運用が広がり、他形式の車掌車と同様に使用されることもありました。

運用と廃止

残念ながら、1986年の運用廃止后は、大部分が廃車となり、1987年には一部の車両がJR東日本に引き継がれましたが、最終的には現在全車が廃車となっています。廃車後は無人駅の駅舎として転用されたり、静態保存されたものもあれば、事務所や倉庫として再利用されているものもあります。

保存車両

現在でもいくつかの車両が保存されており、鉄道ファンにとっては貴重な存在です。無人駅や一般企業での使用例もあるため、今なお日本各地にその姿を残しています。特に、ヨ5000形の二段リンク化改造を受けていないヨ3500形の生き残りも確認されており、当時の技術とデザインが今に伝わる貴重な遺産として、大切にされるべき存在です。

もう一度検索