国鉄ワフ29000形貨車

国鉄ワフ29000形貨車について

国鉄ワフ29000形貨車は、かつて日本の国有鉄道に存在していた有蓋緩急貨車の一つで、1954年に日本車輌製造本店で合計100両が製造されました。この貨車は、最大7トンの貨物を運ぶことができる二軸構造の車両です。

開発の背景

太平洋戦争後、国鉄では新たに車掌車のヨ3500形が登場しましたが、特に地方線区においては、牽引定数の観点から有蓋緩急車の必要性が高まっていました。そこで、ワフ25000形をベースにした設計が行われ、車内環境の改善を重視した結果、荷重が従来の8トンから1トン減少し、車掌室が広くなりました。この設計では、車掌室には出入台がなく、乗務員用の開き戸といくつかの窓が設けられています。また、側窓はユニットサッシュのデザインを取り入れ、通風のためのガーランド型通風器も屋根に設置されました。

車体および機能

国鉄ワフ29000形の車体は鋼製で、内部は木製の内装が施されています。外観は溶接構造であり、台枠も同様に組み立てられています。貨物室は片側に幅1,400mmの鋼製片引戸が付いており、アクセスが容易です。走行装置は一段リンク式で、最高速度は65km/hに設定されています。具体的な寸法に関しては、全長が7,850mm、全幅が2,480mm、全高が3,710mmとなっています。

貨物室のサイズは長さ4,300mm、幅2,250mm、高さ2,200mm、床面積は9.7m²、容積は21.3m³です。また、自重は9.7トンで、貨物室と車掌室の位置関係にも工夫がなされています。

近代化の進展

1966年には、ワフ25000形の近代化改造が成功したことを受け、本形式にも改造が施されました。この改造は100両の全てに適用され、出入台付きの新しいタイプに生まれ変わりました。これに伴い、貨物室は縮小されて5トン積みとなり、新たに電灯装置やストーブが車掌室に設置されました。改造後の貨物室の長さは3,040mm、床面積は6.8m²、容積は15.0m³、自重は10.5トンと変更され、最高速度も75km/hへと向上しました。

老朽化と廃車

このワフ29000形貨車は、他の有蓋緩急車と共に全国で広く使用されていましたが、1985年のダイヤ改正により貨物列車への車掌車の連結が廃止され、用途を失いました。そして、1986年までに全車両が廃車となる運命をたどりました。

廃車後のワフ29041号は長い間、宇都宮貨物ターミナル駅に放置されていましたが、2011年になり若桜線SL遺産保存会により購入され、現在は鳥取県八頭町の船岡竹林公園で保存されています。このように、国鉄ワフ29000形貨車は歴史的な価値を持った車両として、今もなお人々に記憶されています。

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