国鉄ワム21000形貨車

国鉄ワム21000形貨車について

国鉄ワム21000形貨車は、旧日本国有鉄道が製造した15トン積みの鋼製二軸有蓋車です。この貨車は1929年に登場し、貨物輸送の効率を大幅に向上させるために設計されています。

背景

国鉄ワム21000形の誕生の背景には、1928年に製造されたワム20000形があります。この形式は日本最初の鋼製有蓋車でしたが、木製内張りを使用したことで断熱性に欠け、特に米輸送に不向きでした。これを受けて、より優れた断熱性と大幅な容積の拡大を図るため、ワム21000形の開発が進められました。

製造数と製造会社

ワム21000形は、1929年から1930年にかけて合計1000両が製造されました。製造は主に汽車製造、日本車輌製造、川崎車輌、新潟鐵工所、九州車輌の5社が担当し、車両番号はワム21000からワム21999までの範囲でした。一部重複番号の問題もありましたが、欠番はありませんでした。

車両の構造

ワム21000形は、従来の構造を大幅に改良しました。特に、断熱性を向上させるために、「二重羽目構造」が初めて採用されました。この構造では、鋼製外板と木製内張りの間に空気層を持たせ、断熱効果を高める工夫がなされています。また、車体幅は従来の2,370mmから2,475mmへと拡大され、荷物の出し入れが容易になるように戸口幅も変更されました。

中国大陸への供出

1938年から1939年の間に、陸軍の要請により9両が中国大陸へ供出されました。これらの貨車は、異なる軌間に改軌されたため、その後の動向は不明です。

2段リンク化改造

1960年代には、老朽化したワム21000形の延命工事が行われ、648両が一段リンク式から二段リンク式へと改造されました。これにより最高速度は65 km/hから75 km/hに向上しました。

廃車

国鉄ワム21000形は、その後も長い間活躍しましたが、1970年代半ばから徐々に廃車が進み、1984年には全車両が廃車となりました。最後まで残った車両も戦後の貨物運送で重要な役割を果たしたことが評価されています。

まとめ

国鉄ワム21000形貨車は、鋼製の特徴や二重羽目構造など、当時の技術革新を生かした貨物運送車両でした。その設計と性能は後の貨車にも引き継がれ、日本の鉄道貨物輸送の進化に寄与しました。この形式は、効率的な輸送の先駆けとも言える存在であり、鉄道史における重要な一ページです。

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