国鉄ワ20300形貨車

国鉄ワ20300形貨車とその関連形式

国鉄ワ20300形貨車は、鉄道省に属する10トンの有蓋車です。この形式は1937年に信濃鉄道が国鉄に編入される際に誕生しました。同時期に編入されたワ20500形やワ20400形も含め、貨車の歴史に触れていきたいと思います。

概要

1937年6月1日、信濃鉄道が鉄道省に買収され、その結果、信濃鉄道で運用されていた7両の有蓋車（ワ400, ワ401, ワ500 - ワ504）が鉄道省の車籍に編入されました。これらの車両は、それぞれワ20300形とワ20500形という形式名が付与されました。この時期、私鉄が国有化され多くの貨車が鉄道省に編入されましたが、全ての車両が形式名を変更されたわけではなく、一部には私鉄時代の形式番号のままで運用されたものも存在しました。形式名が変更されなかった理由としては、車両の数が少なかったこと、10トン以下の小型車両であったこと、構造が鉄道省の標準車とは大きく異なっていたなどが挙げられます。改番されなかった車両は限られた地域での運用に制約され、数年後には廃車や他の形式への改造が進みました。

ワ20300形の詳細

ワ20300形の形式では、ワ400とワ401の2両が新たに形式名を与えられました。これらの車両は、1914年に製造されたもので、全長6,419mm、全幅2,412mm、全高3,238mmと比較的小型です。実容積は21.4立方メートルで、積載能力は10トンでした。自重は5.78トン、換算両数は積車1.2、空車0.6に設定されています。運用は短く、1942年と1943年にそれぞれ改造されて形式消滅しました。

ワ20500形について

次に、ワ500からワ504までの5両がワ20500形として編入されました。この形式は12トン積みであり、同樣に少数の形式車両が存在しました。ワ20500形は、1922年に製造されたもので、全長は6,470mm、全幅は2,539mm、全高は3,232mmです。実容積は22.9立方メートルで、自重は5.96トン。換算両数は積車1.6、空車0.8で、こちらも1942年から1943年にかけて一斉に改造され、形式が消滅しました。

ワ20400形について

最後に、ワ20400形は、1937年10月に北九州鉄道が買収されたことに伴い編入された5両（ワ500 - ワ504）からなる形式です。この形状も10トン積みであり、形式名が与えられた理由は、混同を避けるためだと考えられています。ワ20400形は1923年に製造され、全長は6,362.7mm、全幅2,562.2mm、全高3,399mmに設計されています。自重は5.85トンで、換算両数は積車1.2、空車0.6となっています。

結論

国鉄ワ20300形、ワ20500形、ワ20400形の貨車は、鉄道の歴史において重要な役割を果たしてきました。それぞれの形式と製造の背景からも、当時の鉄道状況や貨物輸送の在り方が垣間見えます。多くの車両が短命であったものの、今もなお鉄道ファンの熱い視線を浴び続ける存在です。

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