国鉄1630形蒸気機関車

1630形蒸気機関車の概要

1630形は、かつて日本国有鉄道が所有していたタンク式の蒸気機関車です。本機はもともと越後鉄道のために1912年にドイツのJ.A.マッファイ社で製造されました。基本的な仕様は、2気筒単式の飽和式機関車で、車軸配置は0-6-0(C)に設定されています。総重量は約15トンで、運転室の前方には炭庫が設けられ、シリンダが煙突から前方に位置する特異な構造を持っています。

機関車の構造と特徴

本機の設計において、初期の煙室は非常に短くなっていましたが、すぐに約1.6倍に延長され、改良が加えられました。1630形は合計で5両（製造番号3672 - 3676）が製造され、これらは「1形」と呼ばれるようになりました。1927年の越後鉄道の国有化に伴って、3両（1 - 3番）は鉄道省に籍を置くようになりましたが、4および5番は阿波電気軌道に譲渡され、その後の国有化により新たな形式が割り当てられることになりました。

国有化とその後

越後鉄道から国有化された3両は、1630形（1630 - 1632）として分類されましたが、1931年に譲渡が予定されていた北海道の由仁軌道が開業しないことが決定し、結局は廃車となりました。一方、阿波電気軌道から国有化された2両については、炭庫の延長とサイドタンクへの改造が施されました。これにより、2両は1560形として計画されていましたが、実際には私鉄時代の略号を付けられ、ア2形として運用されました。2両はしばらくの間使用されましたが、その後牟岐線へ移動し、1937年に廃車されました。

主要諸元

この機関車の基本的なスペックは以下のとおりです。

• - 全長: 5,940mm
• - 全高: 3,313mm
• - 全幅: 2,065mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-6-0(C)
• - 動輪直径: 800mm（後のバージョンでは830mmに変更）
• - 弁装置: ワルシャート式
• - シリンダー（直径×行程）: 260mm×400mm
• - ボイラー圧力: 12.0kg/cm²
• - 火格子面積: 0.53m²
• - 全伝熱面積: 30.55m²

機関車性能

本機のエンジン出力や性能は、シリンダ引張力が3,450kgに達し、手ブレーキと蒸気ブレーキが装備されていました。また、デザインや技術に関しては多くの調査がなされており、蒸気機関車の歴史において重要な位置を占めています。

参考文献

本機関車についての詳細な研究は、以下の書籍・文献に基づくものです。

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」（1956年）
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成 1」（1968年）
• - その他、機関車史研究の文献など。

外部リンク

詳細な情報や関連資料については、徳島県立文書館のウェブサイトを参照してください。

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